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京都和菓子歳時記−2016年10月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2016年10月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2016年10月5日

菓銘『菊』
芳治軒
京都市山科区椥辻中在家町9-1
(075)594-5523


神無月となり、行き交う人々は秋物の衣装を身に纏い、一層、秋の雰囲気が色濃くなってきました。
あと10日もすれば、京都の寺院では、鉢植えされた豪華な菊の花が並べられ、訪れる人々の目を楽しませてくれる
秋の風物詩『菊花展』が始まります。

私が毎年、欠かさず訪れているのが西本願寺で行われる『献菊展』です。
御影堂前には、色とりどりの様々な種類の菊の花が飾られます。
今年は、どのような素晴らしい菊の花を見ることができるのか今から楽しみです。
その西本願寺では、門主交代を広く知らせる行事『伝灯奉告法要』が行われるのに合わせて10月1日より
ライトアップ『花灯明』が行われています。
西本願寺400年の歴史の中で始めて行われるライトアップです。

広い境内に幻想的な音楽が流れる中、極楽浄土を象徴する青、黄、白、赤の4色が御影堂と阿弥陀堂を照らします。
それと共に金閣・銀閣と並び京都三名閣と称される国宝『飛雲閣』もライトアップが行われています。
普段は非公開の飛雲閣。
その飛雲閣の内部から障子越しに柔らかな光が灯り、秋の虫の音が鳴り響く中、優美な姿が池の水面に浮かび
あがる光景は必見です。

今回は、菊をモチーフにしたお菓子のご紹介です。
菊は桜と共に日本を代表する花。
古くから親しまれてきた菊は、様々な意匠のお菓子となり、この時期になると私たちを楽しませてくれます。
白やピンクなどの色づかいが多い菊のお菓子ですが、こちらは気品を感じる落ち着いた色合いのお菓子です。

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2016年10月12日

菓銘『秋ざれ』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405


秋の七草のひとつとして万葉集で詠まれている藤袴。
日本書紀に登場するほど古くから日本に存在している花です。
その藤袴が環境変化により絶滅が心配されています。

淡い藤色をおびた柔らかい独特な雰囲気の花が、そよぐ秋風に揺られる光景は、まるで印象派の絵画を見ている
ようです。
渡り蝶の『アサギマダラ』が海を超えて沖縄や台湾へ渡る途中に藤袴の花の蜜を求めて飛び交います。
近年、京都では、その光景を守ろうという取り組みがさまざまなところで行なわれ、身近に見る事ができるように
なってきています。

護王神社で咲く藤袴は、その中のひとつです。
今年は昨年以上に多くの鉢植えされた藤袴が境内で咲いています。
機会があれば、訪れてみてはいかがでしょうか。

さて、話題は変わりますが、私が和菓子の素晴らしさに毎日触れるようになって4年という歳月が流れました。
単純に1500種類ほどの様々なお店のお菓子を食べた計算になります。
実際には、2000種類以上のお菓子を食べました。
それほどの種類のお菓子が京都にあることに驚きです。
どのお菓子も美味しく、美しく、京都の和菓子の素晴らしさに出会えたことで人生が大きく変わりました。
数多くのお菓子から様々な知識を深めさせてもらい充実した日々を過ごしています。

今回ご紹介させていただくお菓子もその一つです。
『秋ざれ』という銘ですが、日常ではあまり耳にすることはないと思いますが、秋が深まる ことを意味します。
そして、お饅頭に表現されているのは、晩夏から晩秋にかけて咲く花『水引』です。
細くまっすぐ伸びた花穂に赤いつぼみをたくさんつけ、上から見ると赤く、下から見ると白い紅白の小さい花が
次々と咲いていきます。

『水引』といえば、ご祝儀袋などにかける紅白の水引。
その水引に似ていることからこの名が付けられ、縁起のよい花とされています。
秋の深まりを感じていただくために作られたこちらのお菓子ですが、縁起物のお菓子として贈るのもいいかも
しれませんね。


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2016年10月19日

菓銘『菊』
緑菴
京都市左京区浄土寺下南田町126-6
(075)751-7126


先週あたりから日中の気温も下がり、とても過ごしやすくなってきた京都市内です。
爽やかな秋空の下、京都市内では数多くの年中行事が執り行われています。

今週末には、平安遷都にあたる10月22日、京都三大祭の一つである『時代祭』がいよいよ行われます。
時代祭は観光客の方々にとっては、豪華絢爛な時代行列というイメージが強いですが、平安神宮の大祭であり神事
です。
御祭神の桓武天皇と孝明天皇のご神霊を、それぞれ2基のご鳳輦(ほうれん)に乗せて京都市街をご覧になっていただく
というものです。

1895(明治28)年より平安神宮の創建と平安遷都1100年を奉祝する行事として行われています。
行列は明治維新から始まり、次いで江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、そして平安京の造営された延暦時代
と時代を遡り時代絵巻が繰り広げられます。

各地方で様々な時代行列が行われていますが、京都で行われる時代祭の行列で使用されている衣装、祭具、調度品などは全て綿密な
時代考証を重ねられた後に製作されているもので、その数は1万2000点にも及ぶそうです。
その衣装、祭具、調度品などには、京都の伝統の技が随所に発揮されています。
今年の時代祭では、鎌倉時代の藤原為家の妻や幕末の公家の装束の一部などが新調され、より一層華やかな行列と
なっていることでしょう。

今回は、時代祭の雰囲気に合ったお菓子をご紹介させていただきます。
伝統的な襲色目のような色合いのお菓子はからは、日本の美意識の高さを改めて感じることができます。
そこに型押しされた『十六一重表菊』と呼ばれる菊花紋章。
時代祭で使用される衣装などと同様に伝統を感じずにはいられない意匠のお菓子です。

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2016年10月26日

菓銘『収穫祭』
亀屋重久
京都市右京区谷口梅津間町
(075)461-7365


10月も早いもので残すところあとわずかとなりました。
イチョウの葉が日に日に色づき秋の深まりを感じる日々です。
京都の街を歩いていると鮮やかなハロウィンのディスプレイが目に飛び込んできます。
近年では、各店舗のハロウィンのディスプレイがバレンタインよりも派手になってきているように感じます。

それもそのはず、ハロウィンの市場規模がバレンタインを追い抜いたそうです。
10年ほど前までは、日本でハロウィンがこのようなお祭り騒ぎになるなんて想像もしていませんでした。
ニュースなどでは、若者たちの仮装が取り上げられますが、そもそもハロウィンは、ヨーロッパを起源とする
秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教行事。
日本で行われる秋祭りのようなものでした。

ヨーロッパでは『かぶ』をくり抜いてランタンを作っていたのが、アメリカに渡り『かぶ』が現在のハロウィンの
象徴であるカボチャで作られた『ジャック・オー・ランタン』になりました。
それ以降、みなさんがご存知のような子供たちが仮装をしてお菓子をもらう習慣となりました。

今回は、ハロウィンにちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
多くのお店では、カボチャに顔が表現された『ジャック・オー・ランタン』のお菓子が販売されています。
こちらのお店では、カボチャそのものを表現して洋菓子のようにならないような意匠のお菓子となっています。

さて、今年のハロウィンはどのような盛り上がりを見せるのでしょうか。
いずれにしても、楽しく、怪我のないように過ごしてくださいね。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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