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京都和菓子歳時記−2016年11月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2016年11月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2016年11月2日

菓銘『並木路』
本家玉壽軒
京都市上京区今出川通大宮東入元伊佐町262
(075)441-0319


京都では、11月に入り一段と秋の深まりを感じるようになってきました。
やはり気になるのが紅葉。
昨年は、夏の降雨量の少なさが影響して、多くの、紅葉(もみじ)の葉は綺麗に色づく前に散ってしまいました。
さて、今年はどのような紅葉シーズンとなることでしょう。

ただ今、書店にて販売されている『月刊京都11月号』では、中村玉緒さんをはじめとする様々な方々がオススメの
紅葉スポットをご紹介されています。
紅葉シーズンの前に本誌を手に取って、これから始まる紅葉シーズンに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

紅葉(もみじ)の紅葉の前に、先ずはイチョウの紅葉。
イチョウの紅葉は、紅葉(もみじ)とは違い私の知り得る限りでは、天候に左右されることなく、毎年綺麗に色づき
ます。
京都には、多くのイチョウの木が植えられていますが、その中でも堀川今出川から堀川紫明にかけて植えられている
立派なイチョウ並木が色づくとその光景に見入ってしまわれる方も多いのではないでしょうか。
特に朝日に照らされて、眩いほどに色づいた葉が輝く光景を見た瞬間、幸せに満ち溢れ、素晴らしい1日の訪れを
予感させてくれます。

日頃、通い慣れている堀川通りとは思えないほどの美しさです。
その光景となるまであと少し。
日々、色づいていくイチョウの葉を見ながら今か今かと心待ちにしています。
今回は、そのイチョウの葉にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。

堀川今出川を西へ。
そのイチョウ並木からほど近くに佇む和菓子屋さんが作られているのがこちらのお菓子です。
外郎生地で漉し餡を包み、黄色に色づいたイチョウの葉を模った優美な曲線が印象的な意匠のお菓子です。
こちらのお菓子は、毎年、イチョウの葉の色づきに合わせて販売される為、販売時期が変わりますので、お買い求め
の際にはお店にお問い合わせください。

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2016年11月9日

菓銘『錦繍』
嘯月
京都市北区紫野上柳町6
(075)491-2464


錦の織物のように紅葉した木々に彩られる山を『山粧う』や『山彩る』と表現しますが、先人の豊かな感性が
生み出した美しい言葉です。

この一週間の朝晩の冷え込みで京都市街から見る山の木々の色づきが一段と早まったように感じます。
先週あたりから一部の寺院では、毎年恒例の秋のライトアップが始まっています。
そして、『もみじの永観堂』と称される左京区の禅林寺でも昨夜よりライトアップが始まりました。

毎年、多くの観光客が紅く染まった境内の庭園を一目見ようと押し寄せます。
見頃は、まだ少し先となりそうですが、境内庭園・放生池の周りの紅葉(もみじ)は既に色づき、ひと足早く
紅葉を十分に楽しむことができます。

いよいよ、今年も錦繍の京都の幕開けです。
今回は、これから始まる錦繍の京都を表現したお菓子をご紹介させていただきます。
錦繍に彩られる京都。
四季のある日本だからこそ、創り出された美しい意匠のお菓子です。
錦繍の京都そのものを表現したきんとん製のお菓子から、みなさんそれぞれのお気に入りの紅葉スポットに
想いを馳せてください。

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2016年11月16日

菓銘『お火焚満寿』
音羽軒
京都市右京区嵯峨野芝野町3-18
(075)864-3472


京都の11月はお火焚きの月。
京都市内の寺社で煙がもくもくと立ちのぼる光景を見かけるようになってきました。
11月8日に伏見稲荷大社で行われました火焚祭をはじめとして、京都の寺社では御火焚祭が行われます。
呼び方は、寺社によって『火焚祭』や『御火焚祭』など様々ですが地元住民からは『お火焚き祭(おしたけさん)』
と呼ばれ、奉納された護摩木を火床に入れて秋の収穫、五穀豊穣に感謝をして焚き上げます。
また、ご神火の霊力により汚れや罪が祓われ、願い事が叶うとされています。

この『お火焚き祭』は、庶民の暮らしの中でも行われています。
特に『火』を使う商家では、大切な行事で無病息災や火除けを祈願します。
そのお火焚き祭の際には、お火焚き饅頭・柚子おこし・みかんの三品が供えられます。
しかしながら近年では、近代化に伴い昔ながらの商家が少なくなり、お火焚き祭を行う商家も減少して
いるそうです。
時代の流れとはいえ、いつまでも残って欲しい風習です。

私がおススメしたい御火焚祭は聖徳太子建立の日本七大寺院の一つであります太秦・広隆寺で11月22日に行われる
『聖徳太子御火焚祭』です。
色づいた境内の木々の中で護摩木を山伏が炊き上げます。
そして、なんといっても年に1度だけ、ご本堂に上がり、黄櫨染(こうろぞめ)の御袍(ごほう)を纏ったご本尊
『秘仏聖徳太子立像』を拝見してお参りすることができます。
黄櫨染は天皇が重要な儀式の際に着用する装束で、天皇以外使用できない禁色とされていたものです。
機会があればぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

その広隆寺の前を走る嵐電に乗って一駅。
『帷子ノ辻(かたびらのつじ)』という駅に到着します。
帷子ノ辻駅界隈の住宅地には、地域に根ざした和菓子屋さんが店を構えています。

今回のお菓子は、そのお店が販売されているお火焚き饅頭です。
白とピンクのお饅頭には、火に包まれている如意宝珠を表す火焔宝珠(かえんほうじゅ)の焼き印が押され
ています。
幼い頃、家族で炬燵を囲んで食べていた懐かしいあの頃を思い出す素朴なお味のお菓子です。
こちらのお店のお火焚き饅頭は『お火焚満寿』と名付けられています。
幸せが満ち溢れるようにという願いを込めて販売されている素敵なお菓子です。

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2016年11月23日

菓銘『龍田川』
聚洸
京都市上京区大宮寺之内上ル
(075)431-2800


今年は錦繍の京都が例年よりも早く訪れました。
真如堂の多宝塔前に置かれているベンチに座り、真っ赤に染まった紅葉に包まれながら今回の記事を執筆
しています。

手元の時計では、午前7時過ぎ。
先ほどまで薄暗かった境内には陽が射し、真っ赤に染まった紅葉の表情がより鮮明になってきました。
境内には、観光客の姿はなく、地元の住民が朝の散歩を兼ねてご本堂に手を合わせに訪れます。

訪れる方々と『おはようございます。』と挨拶を交わす清々しい一日の始まりです。
紅葉シーズンは、まだ中盤ですが、今年も数多くの紅葉を見ることができました。
一部では散り紅葉を楽しめるようになってきているところもあります。木々の色づきによって人々が魅了
される様子は、きっと、今も昔も変わらないのでしょうね。

百人一首の中に六歌仙の一人である在原業平が詠んだ有名な歌があります。

『ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川 からからくれなゐに 水くくるとは』

龍田川が紅葉によって真っ赤な紅色になっている様子がうかがえる歌です。
紅葉のこの時期になると、こちらの歌を題材にしたお菓子をよく見かけるようになります。

春には、桜の花びらが川を流れる様子を表現した『花筏(はないかだ)』。
そして、秋には今回のお菓子『龍田川』。
いずれも、日本らしい散りを美としたお菓子です。

今回は、私が意匠をデザインしてお店に作っていただいたお菓子です。
小田巻きんとんを川に見立てて、川に流れる紅葉を表現したお菓子です。
お菓子から日本の『美』を感じていただければ幸いです。

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2016年11月30日

菓銘『霜の朝』
聚洸
京都市上京区大宮寺之内上ル
(075)431-2800


2016年11月も残すところ一日を切りました。
明日からは師走ですね。

個人的には、時の流れがあまりにも早くて実感が湧かないのが正直な感想です。
先日から南座には、出演者の名を記した『まねき看板』が掲げられ、本日からは師走の風物詩である
『吉例顔見世興行』の公演が始まります。

今年の公演は、南座が休館の為、先斗町歌舞練場に場所を移して行われます。
日頃は芸舞妓さんの華やかな演目が行われている先斗町歌舞練場で、歌舞伎公演を見ることが出来ることを
楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
吉例顔見世興行と合わせて紅葉を楽しみに京都にお越しになられる方も多いことだと思います。

今年の京都の紅葉シーズンは、とても短かったように感じます。
紅葉は全体的にはピークを過ぎ、落葉となり冬木立に様子を変えつつあります。
今回のお菓子は、この時期の早朝の様子を切り取った意匠のお菓子をお店に作っていただきました。

色づいた葉が舞い落ち、降り積もった落葉に薄っすらと霜が降りている様子を表現した『きんとん』製の
お菓子です。
師走になり、慌ただしく日々を過ごしていると、つい見逃してしまう光景です。
そのような光景を見逃さないように少しだけ余裕を持って暮らしていきたいものです。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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