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京都和菓子歳時記−2016年12月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2016年12月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2016年12月7日

菓銘『山茶花』
亀屋光洋
京都市左京区一乗寺払殿町17-12
(075)711-3764


師走となり、一段と寒さが増してきた京都市内です。
本日、12月7日は二十四節気では『大雪』。
本格的な冬の到来です。

暖かい食べ物が恋しい時期となってきました。
京都では冬の風物詩として、この時期になると様々な寺院で『大根炊き』が行われます。
その中でも最も有名な千本釈迦堂の『大根炊き』が本日より二日間行われます。
大根には血液の流れをサラサラにするイソチオシアネートという成分が含まれているそうです。
昔から中風除けとして多くの庶民に親しまれ食べられてきました。
寒空の下でいただく大根炊きは、心も体も温まり最高です。
機会があれば、出かけてみてはいかがでしょうか。

寒空の下、私の心を癒してくれるものをもう一つ。
華やかなに色づいた紅葉が散り、静寂の庭園に凛として咲いている山茶花の花を数多く見かけるようになって
きました。
一般的には、あまり注目されることもなく、地味な花として扱われがちですが、和菓子の世界では、初冬の代表的な
花として、この時期多くの店先に山茶花の意匠のお菓子が並びます。

今回は、その山茶花を題材にした意匠のお菓子です。
冬の冷たい空気までを感じることができる山茶花の意匠。
素晴らしい職人さんの感性と職人技。
そして、日本の美、そのものを感じるお菓子です。

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2016年12月14日

菓銘『事始め』
聚洸
京都市上京区大宮寺之内上ル
(075)431-2800


2016年も残すところ半月となりました。
昨日は12月13日、『事始め』の日でした。
京都・花街では、芸舞妓さん達が、今年1年間の感謝と新年に向けた挨拶を、日頃お世話になってる芸事の
お師匠さんやお茶屋さんに行う日でした。

そして、私たちにとってはお正月を迎える準備を始める日。
北野天満宮では、元旦の朝に祝膳の初茶として欠かすことのできない『大福梅』の授与が『事始め』の日より
始まりました。
その話題を耳にすると、いよいよ、年の瀬が押し迫ってきたという気分になります。

今回のお菓子は、その『事始め』を表現した意匠のお菓子をお店に作っていただきました。
事始めに行う『松迎え』という習慣。
今では少なくなったようですが、門松にする松やおせち料理や雑煮を炊くための薪を山に採りに行く習慣を
『松迎え』といいます。
その松と薪の色をきんとんで表現して、赤は『難を転じて福となす』と云われ、縁起が良いとされている
南天の実を表現しています。

お正月の準備で慌ただしい時期となりますが、事故や健康管理に留意してお過ごしください。

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2016年12月21日

菓銘『ホワイトクリスマス』
二條若狭屋
京都市中京区二条通小川東入る西大黒町333-2
(075)231-0616


12月21日は『冬至』。
そして、東寺では『終い弘法』が行われる日でもあります。
今年の『初弘法』で銘々皿を購入したのが、ついこの前のように感じます。
冬至にちなんだお菓子は、【きょうの『和菓子の玉手箱』(http://wagashi-no-tamatebako.kyoto-lovers-forum.com/)】でご紹介させていただくとしまして、今回の
お菓子は間近に迫ったクリスマスにちなんだお菓子です。

和菓子とクリスマス、その組み合わせに「クリスマスには、ケーキでしょ!」と思われる方もいらっしゃること
でしょう。
しかし、最近の和菓子は時代の流れに合わせるかのように、まるでケーキのような可愛らしい雰囲気のお菓子が
販売されています。
そのことに、賛否両論あることは言うまでもありません。
ただ、職人さんたちは可愛らしいお菓子を作っているだけではなく、クリスマスの起源や史実をしっかりと調べて
意匠を考えられています。

クリスマスの時期になると、私が和菓子と関わり始めて間もない頃のことを思い出します。
和菓子屋のご主人さんからクリスマスの起源や、サンタクロースがどうして煙突から出入りして、靴下にプレゼント
を入れるようになったのかなど、クリスマスについてさまざまなことを教えていただいたひと時。
あの時のご主人の教養の広さと深さに心を打たれ、私の和菓子との向き合い方が大きく変わりました。

今回のリースを模った薯蕷製のお菓子。リースの形状が『輪』になっている理由は『はじめも終わりもなく、
永遠に続く神の愛』、という意味からだそうです。
そして、クリスマスのリースが緑色であるのは、常緑樹の緑『農作物の繁栄』を願い、柊の実の赤は
『キリストが流した赤い涙』を意味します。
また、柊の尖った葉やリボンやベルなどは『魔除け』という意味があります。

年末の一大イベントのひとつとして過ごしてきたクリスマスですが、色々な意味を知るとクリスマスの過ごし方も
少し変わってくるかもしれませんね。

では素敵なクリスマスをお過ごしください。

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2016年12月28日

菓銘『冬木立』
紫野源水
京都市北区小山西大野町78-1
(075)451-8857


クリスマスが終わり、年始を迎える準備で街の雰囲気が一気に慌ただしくなってきました。
年賀状書き、大掃除に追われているよ! という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今年の振り返りを行なったテレビ番組や記事を見かけるようになり、2016年が残り少なくなった事を
改めて感じます。
世界中でさまざまな出来事が行った一年でしたが、皆さんにとってはどのような一年だったのでしょうか。

私にとっては、この一年はとても充実したものとなりました。
その理由の一つに【月刊京都版 きょうの『和菓子の玉手箱』】の連載が始まったことが挙げられます。
3月の『ひちぎり』のお菓子より始まったこちらの連載も今回で44回目となります。

和菓子職人さんが手仕事で作り出す素晴らしいお菓子たち。
そのお菓子を手のひらに載せて京都の季節の移ろいを感じながら過ごす幸せな日々は、まさに『手のひらの幸せ』
です。
今回も手のひらに載せて季節の移ろい感じていただけるお菓子をご紹介します。

4年間も毎日、様々なお店のお菓子を拝見して、味わっていると、それぞれのお店のお菓子の特徴がわかるように
なってきました。
特にご主人が一人でお菓子を作られているお店のお菓子であればなおさらです。
和菓子は言うまでもなく口に入れるもの故、煌びやかな流行りの意匠ではなく、あくまで素材へのこだわりと
京菓子の伝統的な意匠を大切にされるご主人。

そのご主人が自身で気に入られている意匠がコチラのお菓子です。
色づいていた葉が木枯しに吹かれて散り、冬木立となってしまった木々たち。
その木々たちをよく見ると、木枯しに耐えて落ちまいと頑張っている葉。
その葉の様子を表現した薯蕷練切製のお菓子です。
氷餅で表現した霜が厳しい冬の寒さを感じさせてくれます。

クリスマス、そしてお正月と華やかなお菓子が多い中、少し厳しい冬の情景をお菓子から感じるのも和菓子の
魅力だと思います。
今年は、今回の記事をもちまして最後となります。
連載が始まって以来、私の記事にお付き合いくださいましてありがとうございました。
来年は1月4日の更新を予定しております。
来年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。
2017年が皆様にとって佳き一年となりますように心より祈っております。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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