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京都和菓子歳時記−2016年5月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2016年5月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2016年5月4日

菓銘『かしわ餅』
船屋秋月
京都市右京区宇多野福王子町13-3
(075)463-2624


ゴールデンウイークに入り、みなさんはどのようにして過ごされているのでしょうか。
他府県から京都にお越しになられて京都を満喫されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

明日は五節句の一つ『端午の節句』。
端午の節句に食べる和菓子といえば『ちまき』と『柏餅』。
「『ちまき』と『柏餅』、どちらを食べるのが正式ですか?」と尋ねられることがあります。
そもそもは、『ちまき』は関西、『柏餅』は関東で食べられていましたが、時代を経て現在のようになりました。

ちまきの由来は、中国から伝来したものです。
中国の屈原の故事から邪気を祓うものとされています。
古くは茅(ちがや)の葉で包んでおり、そこからちまきと呼ばれるようになりました。
そして、『柏餅』。
柏餅の由来は、ちまきとは違い、江戸時代に生まれた日本独特のお菓子です。
柏の木は古来から神聖な木とされ、柏の木に神が宿っているということから『拍手(かしわで)を打つ』と言う言葉が
生まれたそうです。

その柏の木は新芽が出ないと古い葉が落ちないために『子どもが成長するまで親は亡くならない』、『跡継ぎが途絶
えない』ということに結びつき縁起物のお菓子となりました。
明日の節句では、この由来を思い出しながら召し上がってみてはいかがでしょうか。

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2016年5月11日

菓銘『葵餅』
老松(北野店)
京都市上京区北野上七軒
(075)463-3050


京都市内を散策していると『ふたば葵』のモチーフが目に飛び込んできます。

新緑の季節。
葵祭が行われる5月です。
5月15日には、平安貴族装束で500名以上と牛、馬あわせて40頭の行列が京都御所から下鴨神社経て、上賀茂神社へ
向かう、葵祭の『路頭の儀』をはじめとする神事が執り行われます。
ふたば葵と桂の枝葉を組み合わせて作られた『葵桂』を装飾した行列が新緑の京都市内を進んでいく姿は優雅その
ものです。

『祇園祭』、『時代祭』と並んで京都三大祭の一つとして紹介されますが、私は、奈良・春日大社の『春日祭』、
京都・石清水八幡宮の『岩清水祭』と並んで『三勅祭』であると紹介しています。
路頭の儀だけが『葵祭』だと思われがちですが、もう既に5月1日から『競馬会足汰式(くらべまえあしぞろえしき)』
など葵祭の前儀が執り行われ、明日5月12日には、御蔭山より下鴨神社に神霊を迎える神事『御蔭祭』が執り行われ
ます。
この『御蔭祭』を終えると、5月15日が好天である事を願い、路頭の儀の当日を迎えるのみとなります。

今回は『葵祭』を題材にしたお菓子をご紹介させていただきます。
白こしあんを道明寺で包み、氷餅をまぶしたお菓子です。
こちらのお菓子を眺めていると、藤の花で飾られた御所車(牛車)が優雅に進んでいく様子が目に浮かんできます。

今年は『路頭の儀』が行われるのが日曜日にあたります。
日頃は、仕事で行くことができない方も、ぜひこの機会に王朝風俗の伝統が残されているお祭りを実際の目で見られ
てはいかがでしょうか。

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2016年5月18日

菓銘『みどり風』
鶴屋吉信
京都市上京区今出川通堀川西入
(075)441-0105


先日、葵祭が無事に終わりました京都市内は、青々としていた木々の葉がより一層、色濃くなってきました。
京都市街地を取り囲む山々を毎朝、眺めては季節の移ろいを感じています。
青葉の茂った木々の木陰を表す言葉『緑陰』、新緑の間を吹く風を表す言葉『薫風』などという言葉が心地よく
感じる時期へと向かいつつあります。
近年、『青楓』のことを『青もみじ』という言葉に置き換えて使われるようになり、閑散期と呼ばれていたこの時期
の京都でしたが、今では青もみじ狩りを楽しむ多くの観光客で賑わっています。

陽に透けて浮き立つように輝く萌黄色のもみじの葉。
この時期だけの素晴らしい光景です。
和菓子の世界でも、この時期は『青楓』を題材にした多くのお菓子を見かけます。
今回、ご紹介するお菓子がその中のひとつです。

楓の木立を吹き抜ける風。
その風に揺られる楓の葉。
清々しい光景が目に浮かんできます。
こしあんを焼き皮で包んだ、まさに今の京都を表現したお菓子です。

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2016年5月25日

菓銘『光の舞』
二條若狭屋
京都市中京区二条通小川東入る西大黒町333-2
(075)231-0616


葵祭で始まった5月ですが、早いもので残すところあと一週間をきりました。
この時期になると梅雨入りの時期が気になるところですね。
ジメジメとした梅雨の時期は嫌いという方もいらっしゃると思いますが、個人的には好きな時期です。

寺社で雨音を聴きながら見る庭園。
雨に濡れた石畳、そして紅葉や柳などの緑鮮やかな葉から滴り落ちる雨の雫。
京都の素晴らしさを存分に感じることができる梅雨の時期ならではの情緒溢れる光景です。

この時期のもうひとつの楽しみといえば、『蛍』。
哲学の道、上賀茂神社、下賀茂神社、祇園白川巽橋など……。
京都市街地では、あちらこちらで身近に蛍を鑑賞することができます。

その中でも私が近年、毎晩のように気軽に訪れている場所があります。
二条大橋の北西詰から階段を下りると鴨川から分岐する水路『みそそぎ川』が流れています。
その川でゲンジボタルが淡い光を放ちながら舞う様子を見ることができます。
この周辺は車の往来が激しく、蛍が光を放ちながら舞うような場所にはとても思えませんが、地元の方々の長年の
努力のおかげで市街の喧騒の中でも蛍の光を見ることができるようになりました。
今年はどのような蛍の飛び交う様子を見ることができるのか楽しみです。

今回は、その『蛍』を題材にしたお菓子をご紹介させていただきます。
淡く光る蛍が川辺を舞う情景を澄んだ川の水をイメージした色の外郎で包んだお菓子です。
ぼんやりとぼかされている草の緑、そして蛍と蛍が放つ光。
まるで印象派の絵画のようなお菓子です。


profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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