本文へスキップ

京都和菓子歳時記−2016年7月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2016年7月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

イメージ01

2016年7月6日

菓銘『星祭』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405


7月に入り、四条烏丸界隈では祇園祭のお囃子の練習が熱をおびてきました。
日に日に祇園祭ムードが高まってきている京都です。

明日は五節句の一つ『七夕(しちせき)の節句(供)』です。
この節句は『笹の節句』とも呼ばれています。

6日の夜に短冊に願い事を書き、笹に飾ります。
そして7日には、その七夕飾りを海や川へ流す『七夕流し』によって神様に持ち去ってもらいます。
この七夕の風習は、日本の行事と中国の乞巧奠(きこうでん)、星祭りが合わさったものです。
古来、日本では、穢(けがれ)を水に流す禊(みそぎ)の行事が盛んに行われてきました。
そして、中国の乞巧奠とは、女子が機(はた)織りや裁縫が上達するように祈願する行事です。
また星祭りは、牽牛星と織女星が年に一度、天の川をはさんで出会うという伝説です。
牽牛星は日本で言う、彦星。
幼い頃に聞かされた織姫と彦星との物語を聞いて子供ながらにして切なくなったことを思い出します。

今回は、七夕にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
短冊がそよぐ風に揺れた情景を表現したお菓子です。
真っ白い『きんとん』にしている理由は、あえて特定の色を使用しないことによって、自由に想像して
いただけるようにという想いからだそうです。
それは、情景の背景は、笹の緑色であったり、夜空の黒色であったり、人ぞれぞれ想像するものが違うから、
ということでしょう。
つくね芋で作られた『きんとん』に可愛らしく錦玉羹で模られた短冊が配置されているお菓子です。
職人さん曰く、京都らしく、はんなりとした雰囲気の意匠を心がけたそうです。

みなさんの願いが叶いますように!
今回はそんな想いでお届けさせていただきました。

イメージ01

2016年7月13日

菓銘『葛焼き』
亀屋則克
京都市中京区堺町通三条上ル大阪材木町702
(075)221-3969


暑い日々が続いている京都市内ですが、四条烏丸界隈には、徐々に鉾が立ち並んできました。
この光景を見ると、やはり昨年の事を思い出さずにはいられません。
昨年は台風に振り回された祇園祭・前祭でした。
宵山では山鉾を灯す駒形提灯が山鉾から取り外され、灯りのない祇園祭・宵山という見慣れない
光景となりました。

そして、迎えた巡行当日。
開催自体が危ぶまれましたが、なんとか強風と雨の中で行われた山鉾巡行。
あどけなさが残るお稚児さんが真剣を振りかざし、立派に注連縄切りの儀式を終えた時は自然と
涙が溢れていました。
山鉾が私の目の前を通り過ぎる際に、時折り吹く突風に鉾が揺さられているのを見て
『倒れないで!無事に終わって!』と願いながら固唾を飲んで見守っていました。

今年はどのような祇園祭となることでしょうか。
今回は、祇園祭にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
京都の夏には欠かせないお菓子である『葛焼き』。
古くから京都では夏の茶菓子として好まれてきました。
葛に小豆餡を練り込み、枠に流して蒸しあげたのち、片栗粉をつけて程よく焼いたお菓子です。

この時期、八坂神社のご神紋である左三巴と木瓜紋(もっこうもん)があしらわれ、祇園祭を感じられる
お菓子となります。
祇園祭にお出かけの方は暑さ対策を十分にしてお出かけくださいね。

イメージ01

2016年7月20日

菓銘『桔梗』
亀屋光洋
京都市左京区一乗寺払殿町17-12
(075)711-3764


京都らしい蒸し暑い中で行われた祇園祭前祭巡行、そして神幸祭。
日曜日の開催ということもあり、大勢の見物客で賑わいました。
今週も祇園祭後祭で鉾が立ち並び盛り上がりをみせてきた四条烏丸界隈です。
四条烏丸界隈が注目されがちになるこの時期ですが、京都市内では桔梗の花が涼し気に咲いています。
この話題を意外に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それもそのはず。
桔梗といえば、『萩』、『尾花』、『葛』、『撫子』、『女郎花(おみなえし)』、『藤袴』、そして『桔梗』。
秋の七草のひとつです。

万葉集で山上憶良がこのように詠んでいます。
『秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花』
そして、この歌に続き、
『萩の花 尾花 葛花 撫子の花 をみなへし また藤袴 朝顔の花』

この歌の中に朝顔と出てきますが、この時代には、私たちが知っている朝顔は、まだ日本にはなく、
一般的には桔梗と解釈されています。
また、桔梗は俳句の世界では秋の季語としてもあつかわれます。
かつては、秋に咲く花だったようですが、品種改良によって初夏から咲き始める花になったそうです。

このように昔から、桔梗はとても身近な秋の山野草を代表する草花の一つとして親しまれてきました。
しかしながら、現在では野生のものは絶滅危惧種に指定されている花の一つです。

今回は、その桔梗にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
桔梗のお菓子は、秋の七草として晩夏から初秋にかけ店頭に並べられるところもあれば、
開花にあわせて店頭に並べているところもあり、とても長い期間、私たちの目を楽しませて
くれるお菓子の一つです。
こちらのお店では開花の時期に合わせて店頭に並べられています。
思わず見惚れてしまうような綺麗な色合いの煉切製のお菓子です。

イメージ01

2016年7月27日

菓銘『花火』
松彌
京都市中京区新烏丸通二条上ル橘柳町161-2
(075)231-2743


早朝から蝉の鳴き声が目覚まし時計代わりになっている真夏らしい日々です。
早いもので7月も残すところあとわずかとなりました。

祇園祭後祭山鉾巡行が終わり、徐々に平静を取り戻しつつある四条烏丸界隈です。
(祇園祭は、7月31日に八坂神社で執り行われます疫神社夏越祭まで続きます。)
先日は伏見稲荷大社で本宮祭が行われ、下鴨神社では、ただ今、みたらし祭が行われ無病息災を願う人々で
賑わっています。

夏の代表的な年中行事が次々と行なわれている京都市内です。
日が暮れて京都市内を散歩していると浴衣姿で線香花火をして楽しんでいる人たちを見かける
ようになってきました。
夏といえば花火ですね。

京都府内では、亀岡や丹後などで花火大会は行われていますが、京都市内では大きな花火大会は存在しません。
とはいえ、やはり『ドォーン』と大きな音を伴い打ち上げられる花火を気軽に見たいものです。

実は、京都市内で見ることができる打ち上げ花火があります。
7月30日(土)と31日(日)に国立京都国際会館で行われる『乾杯の夕べ』というガーデンパーティーイベントです。
その中で10分から15分くらい打ち上げ花火が上がります。
私は毎年、こちらの花火を見て真夏の夜のひと時を過ごしています。

場所によっては、京都市内の北区や左京区からも見えますのでお近くの方は宝ケ池方向を見てみてくださいね。
今回は、その花火にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
真夏の漆黒の夜空に煌く花火を四色の羊羹と金粉で表現して、下地となる黒色の羊羹は大勢の観衆の頭を表現
しています。
豪華絢爛という言葉が相応しいお菓子です。
機会がなく、花火を見ることができない方はぜひこちらのお菓子から夏の風物詩を感じてみてください。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


お仕事・取材のお問い合わせ

〒600-8411
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸4F
京都Loversフォーラム
e-mail kyoto.lovers.forum@gmail.com