本文へスキップ

京都和菓子歳時記−2016年9月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2016年9月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

イメージ01

2016年9月7日

菓銘『着綿』
千本玉壽軒
京都市上京区千本通今出川上ル
(075)461-0796


週末の9月9日には、五節句の一つである『重陽の節句』が行われます。
『人日の節句』から始まった節句ですが、早いもので今年最後の節句となります。
五節句とは、1月7日の『人日の節句』、3月3日の『上巳の節句』、5月5日の『端午の節句』、7月7日の
『七夕の節句』、そして9月9日の『重陽の節句』。

古来より、奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考えられていました。
その縁起の良い奇数が連続する日、特に9月9日は9という一番大きな陽数が重なる日として重んじられ、そこから
『重陽の節句』と呼ばれるようになりました。

菊の花が邪気を払い長寿に効くとされ、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲み不老長寿を願います。
そして、もう1つ忘れてはならないのが、『菊の着綿(きくのきせわた)』という習わしです。
8日の夜に菊に綿をかぶせ、9日に露で湿ったその綿で体を拭い長寿を祈ります。
平安時代・宇多天皇の御代、宮中で重陽の行事として菊の着綿が行われていたことが、『紫式部日記』などに書き
記されています。

しかしながら、新暦となってからは、今の時期、まだ菊の開花には早く、また夜露が降りることもない為、その
風習を身近に見かけることはありません。
お菓子の世界では、赤菊に綿を被せた様子を表現した『菊の着綿』のお菓子を京都のお菓子屋でこの時期に見かける
ようになります。
私は毎年、『菊の着綿』のお菓子をいただき不老長寿を願っています。
みなさんもこちらのお菓子で不老長寿を願ってみてはいかがでしょうか。

イメージ01

2016年9月14日

菓銘『十五夜』
亀屋良長
京都市下京区四条通堀川東入ル醒ヶ井角
(075)221-2005


京都の町を歩いていると至るところで秋の虫の音が一段と大きく聞こえるようになり、秋の深まりを感じるよう
なってきました。

いよいよ明日は十五夜、『中秋の名月』です。
この時期は、1年の中で最も夜空が澄みわたり、月が美しく見えると言われています。
私は例年、広沢池から月を愛でています。
月明かりに照らされた芒と静けさの中で鳴り響く虫の音が秋の夜を素敵に演出してくれています。

その中でのんびりと十五夜の月を見ながら過ごすひと時を楽しみにしています。
お月見の際に飾られる芒(ススキ)。
月神様の依り代とされ、また魔除けの力があるとされています。

今回は、中秋の名月にちなんだお菓子のご紹介です。
十五夜に浮かぶ月に見立てた外郎製の中には、季節感を感じる栗あんが入っています。
ぼんやりと浮かぶ兎の模様が心に残る意匠です。
『月を愛でる』この文化はいつまでも残ってほしいですね。


イメージ01

2016年9月21日

菓銘『丹波栗』
米満軒
京都市右京区嵯峨釈迦堂大門町28
(075)861-0803


今週の月曜にお彼岸に入り、お墓参りをされる方々を多く見かけるようになりました。

大原や北嵯峨あたりの田畑では、花を咲かせた秋草を目にするようになってきました。
控えめに花を咲かせる秋草が多い中、一際鮮やかに咲き、人目を惹く『彼岸花』。
彼岸花は日照時間で咲く花である為に、気温に左右されることなく、毎年、お彼岸のこの時期に合わせるかのように
花を咲かせます。
独特な花の姿である為に、好き嫌いの分かれる花かもしれませんが、個人的には、好きな花の中の一つです。

カメラを片手に畦道を歩きながら、彼岸花を見つけては撮影をして秋を楽しんでいます。
みなさんの秋の楽しみはどのようなものなのでしょうか。
とある有名飲料水メーカが過去に行った全国の20歳〜69歳の男女を対象にしたアンケートで1位が『食欲の秋』
でした。
そして、秋を感じる食べ物といえばの質問には、1位が『栗』、2位が『サンマ』、3位が『柿』という結果だった
そうです。
(松茸が上位に入っていなかったのは意外です。)

今回は、そのアンケートで1位になった『栗』にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
季節感をとても大切にする和菓子では、この時期になると、もちろん『栗』の意匠を多く見かけるようになります。
今回は、一粒の栗の甘露煮を白こしあんで包んだ後、さらに練切りで包み、最後に羊羹にくぐらせたお菓子です。
もっちりとした食感がとても印象的な、この時期こちらのお店の代表的なお菓子です。
秋の嵐山を散策したついでに立寄ってみてはいかがでしょうか。

イメージ01

2016年9月28日

菓銘『峯の秋』
伏見駿河屋
京都市伏見区下油掛街174番地
(075)611-0020


早いもので2016年9月もあと僅かとなり、京都市内では小学校や町内会の運動会が行われている様子を見かける
ようになってきました。

運動会で小学生や地域住民の方々が元気よく走り、応援している方々の笑顔や悔しがっている顔を見ているとこちら
まで元気をもらい幸せな気分になってきます。
これから、あちらこちらで運動会が行われると思いますが、はりきり過ぎて怪我をしないようにして、楽しい秋の
ひと時をお過ごしくださいね!

さて話題は変わりますが、和菓子屋さんなどで話をしていると、早くも紅葉の話題となることが多くなって
きました。
東山三条から蹴上にかけて植えられているハナミズキの葉が紅く色づき初めてきています。
そして、春に私たちの目を楽しませてくれた岡崎公園疎水の桜並木も少し色づきはじめてきています。
モミジの紅葉はまだまだ先ですが、その他の広葉樹の紅葉シーズンは、もう目前までやってきているように
感じます。

今回のお菓子は、『きんとん』を山に見立てて、峯の秋の深まりを表現しています。
峯の色づいた木々は、時が経つにつれて麓へと移り、『山粧う(やまよそおう)』と表現されるようになること
でしょう。

その頃には、こちらの『きんとん』の色合いも緑色がなくなり鮮やかな赤色や橙色となることでしょう。
これからは、お菓子からも深まりゆく秋を感じてみてはいかがでしょうか。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


お仕事・取材のお問い合わせ

〒600-8411
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸4F
京都Loversフォーラム
e-mail kyoto.lovers.forum@gmail.com