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京都和菓子歳時記-2017年9月-・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2017年11月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜-Yume-が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2017年11月1日

菓銘『織部薯蕷』
中村軒
京都市西京区桂浅原町61
(075)381-2650
HP:http://www.nakamuraken.co.jp/


霜月となり、秋の深まりをより感じるようになってきている京都市内です。
桜や銀杏などの木々が色づいている様子に目を奪われながら京都市内を移動することができる楽しい日々と
なってきました。
早いもので暦の上では、秋は残り一週間。
来週は、立冬となります。
立冬の頃、茶の湯の世界では、新しい年のはじめとなります。
茶室の『炉』をひらき、初夏に摘み取った茶を詰めた茶壷の口を開ける『口切』の茶事が行われます。
『炉開き』には、おめでたいものとして『 三部(さんべ)』(ふくべの炭斗、織部焼の香合、伊部(備前焼)
の花入)を取り合わせるのが一般的だそうです。
美濃の戦国武将でありながら、千利休の一番弟子であった『古田織部』。
織部は、大胆で自由な気風を好みました。
その当時では、ありえなかった左右非対称や焼損ないの美濃茶碗を茶席で使用したそうです。
また緑色の釉薬(ゆうやく)を使い、『織部好み』と呼ばれ、爆発的な大流行を生み出しました。
織部の名は、茶人として今なお人々に語り継がれています。
その陶器の雰囲気をお菓子に写したのが織部上用や織部薯蕷と名付けられたお饅頭です。
緑のぼかしと井桁を配したのが特徴のお菓子です。
ひなびた土色かかった色の薯蕷饅頭の生地。
そして、中の餡はこのようなお菓子には珍しい粒あんが入っています。
名声を極めた古田織部に想いを馳せていただきたいお菓子です。


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2017年11月8日

菓銘『売茶翁』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください。)


京都の紅葉は高雄・神護寺の金堂前から始まると言われます。
その金堂前・石段脇に植えられている紅葉(もみじ)が赤く色づき見頃となってきました。
そこに植えられている紅葉(もみじ)は、イロハカエデと呼ばれる品種のカエデ種で別名をタカオカエデと呼びます。
このあたりには多くのイロハカエデが自生していることから、イロハカエデのことをこの地の名称で呼ばれるように
なったと言われています。
京都では、十数種類のカエデ種が自生しています。
イロハカエデの葉は他のカエデ種に比べて小さいのが特徴となっています。
その分、ボリューム感は欠けますが、グラデーションの繊細な美しさを感じることができます。
そう繊細な美しさは、京都の和菓子に少なからずとも影響を与えているのではないでしょうか。
今回は、急須に紅葉(もみじ)の押型が入った、こなし製の可愛らしいお菓子のご紹介です。
京都との関わりが深い、江戸時代に煎茶道を広めた人物の名前を銘にしたお菓子。
中には、ほうじ茶餡が入っており、ほっこりとした安らぎを感じることができます。
温かいお茶と共に気楽に召し上がっていただきたいお菓子です。


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2017年11月15日

菓銘『唐錦』
千本玉壽軒
京都市上京区千本通今出川上ル
(075)461-0796
(ご購入の際はお問い合わせください。)


紅葉が見頃になった便りが徐々に増えきた京都市内は、例年のような賑わいになってきました。
いよいよ、月刊京都11月号を片手に京都散策をする時期きました。
もちろん、紅葉狩りをした後には、紅葉にちなんだお菓子からも錦秋の京都を感じてみてください。
今の時期は落葉広葉樹の葉色も様々。
色づく前の緑色。
少し色づきはじめた黄色。
そして、真っ赤に色づいた葉。
和色では、秋に木々の葉が変化していく色を『朽葉色(くちばいろ)』と表現します。
銀杏(いちょう)のような色づきを『黄朽葉色(きくちばいろ)』と呼び、紅葉(もみじ)が赤く色づいている色のことを『赤朽葉色(あかくちばいろ)』と呼びます。
このような表現の仕方があるのも、日本人の美意識の高さからきているように感じます。
今回は、様々な色が織りなす自然美を表現したお菓子をご紹介させていただきます。
様々な秋の色を織り交ぜた外郎製のお菓子です。
紅葉(もみじ)の焼印から、錦秋の京都が目に浮かびます。
そして、キラキラと輝いたように見える意匠は銘である『唐錦』そのものです。


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2017年11月22日

菓銘『秋の山』
緑菴
京都市左京区浄土寺下南田町126-6
(075)751-7126
(ご購入の際はお問い合わせください。)


京都市内の紅葉は、いよいよ終盤に差し掛かってきました。
見頃となった紅葉と散り紅葉(もみじ)が楽しめる素晴らしい期間です。
先日、雨が降る中を左京区にある赤山禅院へと紅葉狩りに出かけました。
東山に朝靄がかかる幻想的な風景。
境内の真っ赤に色づいた紅葉(もみじ)が私を出迎えてくれました。
赤色や黄色に色づいた紅葉(もみじ)を眺めながら進む参道。
苔むした参道脇に散ったばかりの美しい紅葉(もみじ)の葉が魅せる『散りの美』。
その美しさは、錦秋の京都との別れでもあります。
鮮やかな新緑が眩ゆかったあの頃を懐かしみながら『ありがとう!また、来年ね。』という思いが巡ります。
今回は、京都の代表的な意匠のお菓子をご紹介させていただきます。
抽象的な曲線で山並みを表現している、こなし製のお菓子です。
色づいた木々の色を使い、今の時期の山の様子を表現しています。
まさに京菓子そのもののお菓子です。


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2017年11月29日

菓銘『顔見世』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください。)


一年も早いもので、もう師走が目前となりました。
先日の11月25日には、京都の師走を告げる顔見世興行の『まねき上げ』が行われました。
会場は例年と違うロームシアター京都。
今年は南座が改修工事の為、南座を離れてのまねき上げとなりました。
江戸時代から続く南座の顔見世ですが、南座以外でまねきが上がるのは初めてのこと。
大入りになるようにという願いが込められた勘亭流という独特な書体で檜の看板いっぱいに書かれた文字。
まねきが上がり、襲名披露となる中村芝翫さんをはじめ、橋之助さん、福之助さん、歌之助さんの親子4名が登場。
「成駒屋っ!」と威勢の良い掛け声がかかります。
親子4名の襲名披露も史上初めてのことだそうです。
まねきが上げられている場所が変わり、例年とは違う京都の師走となりますが、歌舞伎役者さんたちの迫力のある
素晴らしい演技が京都に師走の風を吹かせてくれることでしょう。
今回は、京都の師走の風物詩『顔見世』にちなんだお菓子のご紹介です。
京都の師走を代表する顔見世ですが、意外にも顔見世にちなんだお菓子が京都の和菓子屋の店頭に並んでいるのを
見かけるのは少なく、珍しいと言っても過言ではありません。
そんな貴重なお菓子の一つがこちらのお菓子です。
升は、『増す』や『益す』ということでとても縁起がいいとされていますが、その升がモチーフになっている
成田屋の紋『三升(みます)』。
その紋を萌黄色、大和柿、芝翫茶の歌舞伎にちなんだ色のお菓子に入れて縁起の良いお菓子に仕上げられています。
歌舞伎のイメージが強い、黒・柿色・萌葱色の緞帳(どんちょう)の中の一色である萌葱色。
大和柿は、三代目・坂東三津五郎が好んだ色。
三津五郎の屋号『大和屋』より名付けられた色です。
そして、今回の顔見世で襲名披露をされます中村芝翫(しかん)さん。
その初代・中村芝翫が好んだ色であることから名付けられた芝翫茶。
お菓子からも師走の京都を感じてみてはいかがでしょうか。



profile

小倉 夢桜-Yume- (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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