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京都和菓子歳時記-2017年5月-・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2017年5月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜-Yume-が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2017年5月3日

菓銘『もののふ』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405


葵祭の皐月となりました。
京都では5月1日に『競馬会足汰式(くらべまえあしぞろえしき)』が行われ、その後、『流鏑馬神事』、
『斎王代禊の儀』、『歩射神事』、『賀茂競馬』と葵祭の前儀が続きます。
大型連休は、京都で葵祭の前儀を見て過ごすという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

5月5日、二十四節気では『立夏』となり、夏のはじまりとなります。
そして、五節句の一つである『端午の節句』でもあります。

今では男の子の節句となっていますが、その昔は『菖蒲の節句』と呼ばれ、邪気を払う為に、菖蒲を浸したお酒や
煎じたものを飲んだりしていたそうです。
江戸時代になり、『菖蒲の節句』が『尚武の節句』とされ、男の子の誕生と成長を祝う節句へと変貌を遂げていき
ました。

端午の節句に欠かせない鯉のぼり、そして鎧や兜。
最近では、玄関先で大きな鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいる姿を見かけることが少なくなってきました。
その風景を見かけた時には、つい幼少の頃を懐かしむ気持ちがこみ上げてきます。

今回のお菓子は、端午の節句にちなんだお菓子のご紹介です。
『武士』と書き、その読みは『もののふ』。
その『もののふ』を菓銘にした、外郎で兜を表現したお菓子です。
勇ましい雰囲気があるお菓子をひらがなの菓銘にすることで少し和らいだ雰囲気に感じるから不思議です。
『端午の節句』には、ぜひこちらのお菓子で祝ってくださいね。


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2017年5月10日

菓銘『水辺』
長生堂
京都市左京区下鴨上川原町22-1
(075)712-0677
HP:http://chouseido.com/
(ご購入の際はお問い合わせください)


大型連休に新緑、そして、躑躅、藤の花を楽しみ、初夏を存分に感じることができた京都市内。
現在は、上御霊神社や平野神社などで、杜若、花菖蒲に草姿、花とも似ているアヤメ科の一初(イチハツ)が咲いて
いる様子を見かけることができます。

アヤメは水辺に咲いているように思われがちですが、実際には陸地に咲く花。
その初夏を彩る花たちは、次第に水辺を彩りはじめます。
これからの時期、水辺には『杜若(カキツバタ)』が咲き、その後『花菖蒲(ハナショウブ)』の花が続きます。
花菖蒲が咲く頃には、梅雨となっていることでしょうね。

もちろん、この時期には、水辺を彩る花たちは、お菓子の主役となります。
今回は、これからの時期に主役になる水辺の花たちのお菓子をご紹介させていただきます。
茶巾絞りという代表的な手法で作られた、こなし製のお菓子です。

杜若や花菖蒲に似せようとすると全体を鮮やかな紫みの青にしてしまいがちですが、あえて白地に差し色を入れる
ことだけにとどめて、見る方の想像力をかき立てています。
みなさんも、こちらのお菓子からそれぞれの水辺を彩る花を想像してみてくださいね。


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2017年5月17日

菓銘『うの花きんとん』
紫野源水
京都市北区小山西大野町78-1
(075)451-8857
(ご購入の際はお問い合わせください)


先日、京都では晴天の下、葵祭が執り行われました。
平安装束を身につけた約500人の行列が優雅に進む様子は王朝絵巻そのもの。
その素晴らしい光景に今年も見惚れてしまいました。

葵祭が終わり、季節がまた一つ進んだように感じます。
新緑に映える白い花。
夏の訪れを知らせてくれる空木(ウツギ)が見頃となっています。
空木は、古くから『卯の花』と呼ばれ親しまれてきました。
古来より、真っ白な花が咲き乱れる様子に多くの歌人が魅了され、数多くの和歌に『卯の花』が詠まれています。

『卯の花の咲きぬるときは しろたへの 波もてゆへる 垣根とぞ見る(太宰大貳重家)』

新古今和歌集に収められている卯の花が咲きほこる情景を詠んだ歌です。
今も昔も変わらぬ、夏の始まりを感じられる情景は、私たちの身近にあるようです。

今回は、その卯の花にちなんだお菓子です。
新緑色に染められたそぼろ。
その上には花に見立てた白色。
たくさんの花をあしらうことなく、あくまでも上品にあしらうところにお店の個性を感じます。
お菓子から夏の始まりを感じてください。


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2017年5月24日

菓銘『落とし文』
船屋秋月
京都市右京区宇多野福王子町13-3
(075)463-2624
(ご購入の際はお問い合わせください。)
http://www.funaya.jp/


季節は立夏から小満へと移ろい、また一つ本格的な夏に近づきました。
京都市内を歩いていると玄関先で赤やピンク、黄色などの様々な色の華やかに咲き誇る薔薇を見かけます。
綺麗な薔薇の花を見ると、愛情を注いで一年間かけて育ててこられたんだろうと思い、鑑賞させていただいて
います。

お菓子では薔薇を模ったものが販売されたりする時期ですが、その他にもこの時期によく見かける日本らしい
お菓子があります。
それが『落とし文』というお菓子です。
落とし文は、初夏を表す季語としても使われます。

丸めた餡を葉がくるりと巻いたような意匠。
その葉の上には、白い粒のような餡が飾られています。
こちらのお菓子は、昆虫のオトシブミが卵を産んでその葉をくるくると巻いて地面に落としたものを表現して
います。
その昔、密かに想う人に宛てた手紙を他人にわからないようにくるくると巻いて道端に落として渡したそうです。
その手紙を、落し文と呼んでいた、というのが、昆虫のオトシブミの由来だそうです。

手紙で気持ちを伝えることが少なくなった現代人にとっては、理解しづらいかもしれませんが、なんともロマン
チックな風習です。


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2017年5月31日

菓銘『水しぶき』
松壽軒
京都市東山区松原通大和大路西入弓矢町19-12
(075)561-4030
(ご購入の際はお問い合わせください。)


例年より雨が少なく、青空の印象だけが残った五月となりました。
明日からは六月。
夜が明けるのも早くなってきました。

四時過ぎに東の空が明るくなりはじめる京都市内。
早朝の清水寺。
朝日を浴びた京都市街を気軽に一望できる世界的にも有名な寺院です。
ただ今、『清水の舞台』として親しまれている御本堂の檜皮葺き屋根の葺き替え改修工事の為、見慣れている清水の
舞台の光景とは違い、御本堂を覆うように立派な足場が組まれています。
改修工事中の様子にがっかりされる方もいらっしゃいますが、50年ぶりに行われる珍しい工事です。
ある意味、足場が覆い囲まれた御本堂の様子は貴重な光景です。
この機会にぜひ見ていただき、文化財を未来永劫にわたって守っていくことの大変さ、素晴らしさを肌で感じていた
だければと思います。

参拝が始まる午前六時より少し前の清水寺・仁王門前。
観光客とは雰囲気が異なる、おじいちゃん、おばあちゃんが何処からともなく集まってこられ、大きな声で
「おはようございます!」と挨拶を交わす見慣れた光景です。
「あんた、昨日は見かけへんかったから病気してるんちゃうかと心配したで」
「ちょっと、孫のとこに行ってましてん」
と元気に日常の会話をされるおじいちゃん、おばあちゃんたち。
中には50年近く毎朝、お詣りに来られている方もいらっしゃいます。
元気の源は何かと尋ねてみると、「清水さんがあること」や「音羽の滝の水を毎朝飲むこと」などという答えが
返ってきます。
地元住民にとっては、とても大切な寺院であることを感じます。

清水寺境内・奥の院の崖下にある音羽の滝。
連日のように『延命水』や『黄金水』と呼ばれる霊水を求めて多くの参拝者が列をなしています。
音羽山より湧き出る清水が三筋の筧を通って、水しぶきをあげて流れ落ちている様子は涼し気でこれからの時期、
より一層多くの参拝者で賑わいそうです。
今回は涼し気な水しぶきを表現したお菓子のご紹介です。
水をイメージする色合いのこし餡を涼し気な道明寺羹で包んだお菓子です。
みぞれ羹とも言われる道明寺羹は、もっちりとした食感が特徴です。
もっちりとした食感のお菓子は、暑い時期に敬遠されがちですが、道明寺羹は見た目にも涼し気。
京都らしい蒸し暑い日がやってくるこれからの時期、ついつい食べたくなるお菓子です。
まだ、召し上がったことがない方は一度試してみてはいかがでしょうか。



profile

小倉 夢桜-Yume- (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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