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京都和菓子歳時記-2017年7月-・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2017年7月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜-Yume-が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2017年7月5日

菓銘『遠囃子』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください)


この時期がやってまいりました。
文月となり、京都市の中心部では祇園祭を至る所で感じるようになってきました。
駅のホームや商業施設には、祇園祭の文字が躍り、祇園囃子が繰り返し流されています。
そして、山鉾の各会所には、提灯や御幣が飾られ、日が暮れると本番に向けて祇園囃子の練習が行われます。

街に響き渡る様々なお囃子を聴きながら過ごす日々。
今年も存分に祇園祭を楽しもうと月刊京都7月号を見て祇園祭へ思いを巡らせています。
今年の祇園祭は、カレンダーの巡り合わせがよく、前祭の宵宵々山が金曜日となり、日曜日に宵山、そして、
『海の日』の祝日が山鉾巡行にあたります。

天候次第では、過去最高の人出となるかもしれません。
祇園祭に行かれる方は、そのあたりを考慮して無理のない計画を立ててお楽しみください。
祇園祭にちなんだお菓子をお菓子屋さんで見かけるようになるのは、例年、山・鉾建てが始まる7月10日頃
からです。
お菓子で祇園祭を感じることができるようになるのもこの時期の楽しみの一つです。
祇園祭好きの気の早い私が今回ご紹介させていただくお菓子は、もちろん祇園祭にちなんだお菓子です。

八坂神社のご神紋である左三巴と木瓜紋(もっこうもん)。
その一つ『左三巴』を外郎生地にすり込み、赤こしあんを包んだお菓子です。
召し上がられる方々が想像を働かせて思い思いの祇園祭を感じていただく為に外郎生地には、あえて色をつけずに
神々しい雰囲気に仕上げられています。
手のひらにのせて、お菓子に心を寄せて見つめていると、『コンチキチン』と鉾の上で賑やかに奏でられた祇園囃子
が聞こえてるから不思議です。
みなさんは、こちらのお菓子からどのような情景を思い描かれるのでしょうか。


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2017年7月12日

菓銘『祇園ばやし』
日栄軒
京都市北区小山初音町61
(075)491-2204


「コンッ、コンッ、コンッ。」と槌音が四条烏丸界隈に響き渡ります。
作事方(さくじがた)や建方(たてかた)と呼ばれる人々によって鉾の部材を組む『鉾建て』が始まりました。
釘を一本も使わずに荒縄を巻いて部材を固定していく『縄がらみ』と呼ばれる伝統的な技法が見所です。

そして、本日7月12日は、一部の鉾で曳き初めが行われ、夜には祇園囃子の鳴り響く中、駒形提灯に灯りが灯された
鉾への一般搭乗が始まります。
祇園祭ムードが一気に高まる四条烏丸界隈です。

京都を代表する、いえ、日本を代表する祇園祭。
京都の街全体が祇園祭一色になっていると思われている方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、実際には四条烏丸界隈から祇園・八坂神社一帯にかけて盛り上がっているだけでその周辺は意外にも
冷静。
普段とあまり変わりありません。
長年、京都に在住している方の中には、山鉾巡行はもとより、鉾を見たことが無い方もいらっしゃいます。

「こんな暑い時期に人混みなんてよう行かんわ。」というご意見。
確かにごもっともですが、まぁ、何と勿体無い。

そういう方に出会った時には、祇園祭りの素晴らしさを熱く語り、祇園祭へ誘う私です。
ちょっと、ありがた迷惑かもしれませんね。
和菓子屋の店頭に並ぶお菓子も四条烏丸界隈では、祇園祭りの意匠のお菓子を買い求める方が多い為、多くの種類を
見かけます。

一方、周辺地域のお店では、祇園祭の意匠のお菓子を作っても売れない事を理由に今まであまり多くの祇園祭りの
意匠のお菓子を見かけることがありませんでした。
しかし、近年では、京都や祇園祭に関心を寄せている方が増加している影響でしょうか、祇園祭のお菓子についての
お問い合わせが増えているそうです。

今回は、数年前に考えて作りはじめられた祇園祭の意匠のお菓子をご紹介させていただきます。
駒形提灯の焼印を一つ使い、お饅頭に何度か押して仕上げていくお菓子です。
焼印の入れ加減でまったく異なる雰囲気のお饅頭に変わるそうです。

こちらのお菓子を見ていると、夜の帳を彩る駒形提灯の灯りの中、鳴り響く祇園囃子が聞こえてきます。
そして、そこに引き寄せられてきた大勢の人並みまでが目に浮かんできます。
今年も暑い京都となりそうです。
そういった暑さの中で行われる方が祇園祭らしいのかもしれませんね。


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2017年7月19日

菓銘『無言参り』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください)


鉾の曳き初め、山鉾町のそぞろ歩き、宵山、八坂神社の献茶祭などで京都の夏を感じ、迎えた祇園祭・前祭の山鉾
巡行、そして神幸祭。
今年は多くの見物客が見守る中で行われました。

祇園囃子の音色が、まだ私の頭の中で心地よく繰り返し鳴り響いています。
山鉾巡行で山や鉾が通るたびに手を合わせるおばあちゃん。
その姿に心を打たれ、本来のお祭りのあり方を教えていただいたように思います。

祇園祭が行われているこの時期、多くの習わしがあり、今なお大切に守り継がれています。

祇園の花街に伝わる『無言参り』もその一つ。
舞妓さんが願い事を叶えてもらうために行う風習です。
祇園社から神幸祭を終えて7月24日まで神輿が鎮座している御旅所に道中誰とも言葉を交わさずに7往復して願掛け
詣をするというものです。
その習わしが菓銘になったお菓子を今回はご紹介します。

外郎で舞妓さんのお袖を表現したお菓子。
舞妓さんのイメージが出るように水色とピンクのぼかしではんなりとした色合いに仕上げられています。
色合いはもちろんのこと、『無言参り』を題材にする感性は女性職人さんならではです。
誰とも言葉を交わさずにこちらのお菓子を召し上がって願掛けをしてみてはいかがでしょうか。

ひょっとすると願いが叶うかもしれませんね。


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2017年7月26日

菓銘『常夏』
游月
京都市左京区山端壱町田町8-31
(075)711-1110
(ご購入の際はお問い合わせください)


厚い雲におおわれた京都市内。
祇園祭後祭の山鉾巡行のスタート地点である烏丸御池界隈は、まるで蝉が歓声を上げているかのように蝉時雨に包ま
れていました。
そんな中、始まった山鉾巡行。
心地よい祇園囃子と蝉時雨、夏の京都には欠かせない音色です。

山鉾巡行、還幸祭を終え祇園の神様が八坂神社にお戻りになられた町は、普段の変わらぬ京都の雰囲気へと戻りま
した。

鉾に気を取られ、つい見上げてばかりいた数日間。
気がつけば道端に可憐に咲いている撫子の花。

撫子の由来は、あまりの可愛らしさから思わず撫でたくなるからその名が付いたそうです。
そんな可愛らしい撫子ですが、平成二年より京都府の草花に指定されているほど府民にとっては身近な草花。

その身近な草花は、もちろん京都の和菓子屋さんでも身近な存在です。
この時期になると『なでしこ』、『石竹』、『常夏』などの銘が付いた撫子にちなんだお菓子が店頭に並びます。
どちらのお菓子も、撫子の可憐さをうまく表現したものばかりです。

その中の一つが今回ご紹介させていただくお菓子です。
白小豆のこし餡を外郎で包んだこちらのお菓子は、京都の夏の暑さを忘れさせてくれそうな爽やかな色合い。

和菓子の優しさを感じるとともに、可憐さをとても感じる意匠。
手のひらにのせていつまでも愛でていたいお菓子です。




profile

小倉 夢桜-Yume- (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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