本文へスキップ

京都和菓子歳時記−2017年1月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2018年5月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

イメージ01

2017年5月2日

菓銘『あやめ薯蕷』
中村軒
京都市西京区桂浅原町61
(075)381-2650
(ご購入の際はお問い合わせください。)


ゴールデンウイークの真っ只中ですが、みなさんはどのように過ごされているのでしょうか。
ひょっとすると、旅先から見てくださっている方もいらっしゃるかもしれません。
京都市内は多くの観光客で賑わっています。
知人より京都のオススメの場所を尋ねられることが増える時期です。
5月の京都市内は、どこも新緑が美しく、どのように回答をさせていただければいいのか悩んでしまいます。
悩んだ挙句、何度も京都観光をされている方には、梅宮大社をお勧めするようにしています。
池泉回遊式の神苑は、咲耶池の周りにアヤメやカキツバタなどが花を開かせる頃。
『いずれアヤメかカキツバタ』と区別できない例えとして用いられるようにアヤメとカキツバタは
よく似ている植物です。
簡単な見分け方は、乾いた土で花を咲かせているのがアヤメであり、湿地を好むのがカキツバタです。
また花の違いは、花びらの中央部に網目模様があるのがアヤメであり、カキツバタは花びらの中央部に
白い筋模様が入っています。
初夏の陽射しに爽やかな色合いのアヤメやカキツバタたちが涼しげに咲いている様子は、お菓子の題材
としてよくこの時期に取り上げられます。
今回は、アヤメにちなんだお菓子のご紹介です。
薯蕷饅頭にアヤメの花の焼印を入れた後、職人さんが一つ一つ、手書きで葉を表現しています。
和菓子には、様々な表現の方法があることに驚かれた方もいらっしゃることでしょう。
こちらのお菓子から存分に初夏を感じてみてはいかがでしょうか。


イメージ01

2017年5月9日

菓銘『藤の精』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください。)


葵祭の『路頭の儀』と『社頭の儀』が来週に迫ってきました。
どうしても優美な行列が注目され一大イベントのように採り上げられますが、平安時代より国家的行事として
受け継がれている勅祭です。
5月12日には、荒御霊を御本殿に迎える大切な神事『御蔭祭』が下鴨神社で執り行われ、そして5月12日の深夜、
上賀茂神社では御阿礼神事(みあれしんじ)が完全非公開で執り行われます。
この二つの神事が滞りなく終わり、あとは5月15日が天候に恵まれることを祈るばかりです。
今回は葵祭にちなんだお菓子のご紹介です。
葵祭の路頭の儀に出てくる乗り物といえば『牛車(ぎっしゃ)』。
御所車と呼ばれ藤の花などを軒に飾り、牛に引かせます。
御所車の車輪(くるまのわ)の焼印を入れて 二色のいら粉でさやさやと揺れ輝く藤の花を表現したお菓子です。
菓銘は、女性が藤の精となり、美しく能を舞う物語【藤】という能の曲名の中に登場する藤の精から名付けられて
います。
薯蕷製のお菓子の中には青色(みどり)に染めたこしあんが包まれており、新緑の葵祭の雰囲気を感じることができ
ます。
優美な姿のお菓子をみなさんも召し上がられてみてはいかがでしょうか。


イメージ01

2017年5月16日

菓銘『山法師』
鍵善良房
京都市東山区祇園町北側264番地
(075)561-1818
(ご購入の際はお問い合わせください。)


京都市内を移動していると、青々とした木々に白い花を咲かせた光景を見かけます。
その花の様子は4枚の花びらでハナミズキとよく似ています。
(正確には、花ではなく、つぼみを包んでいた総苞片(そうほうへん)という葉です。)
その木々を眺めていると
「ハナミズキのように見えるけど、ちょっと違うわぁ。」
という会話をよく耳にします。
ハナミズキではなく、ヤマボウシ(山法師)という日本の古来種です。
その名前の由来は、白い総苞片を頭巾に見立てたところからきています。
ハナミズキは、日本がワシントンに桜を送ったお返しに送られてきたアメリカ原産木あることは
あまりにも有名な話。
その両者の違いは、ハナミズキは、花が咲いてから葉が芽吹き始めますが、ヤマボウシは葉が
成長したのちに花が咲きます。
ハナミズキの総苞片は丸みがあるのに対して、ヤマボウシの総苞片は先端が尖っています。
今回は、そのヤマボウシにちなんだお菓子をご紹介します。
京都市内で身近に見かけるヤマボウシ。
しかしながら、その意匠のお菓子をあまり見かけることはありません。
ハナミズキのような派手さはなく、落ち着いた雰囲気のヤマボウシは、お菓子の題材としては
とてもいいのではと個人的に感じています。
ヤマボウシの特徴を上手く捉えてこなしで表現されているお菓子。
こちらのお菓子を手のひらにのせて愛でていると不思議と青々とした葉までも感じることができます。


イメージ01

2017年5月23日

菓銘『のどか』
茶寮・宝泉
京都市左京区下鴨西高木町25
(075)712-1270
(ご購入の際はお問い合わせください。)


バラの花がご家庭の庭先や玄関先で綺麗に咲いている様子を見かけるようになってきました。
つい気品溢れるその様子にうっとりと見惚れてしまいます。
個人的には淡いピンク色のイングリッシュローズが大好きです。
どうしてもバラといえば、真っ白な壁の洋館で紅茶をいただきながら眺めるというイメージが強くあります。
『バラは海外からやってきたもの。』と思ってしまいますが、実はノイバラやハマナスという原種バラが日本には自生しています。
奈良時代、万葉集でバラの意味とされる『茨(うばら)』が詠みこまれています。
その後も源氏物語や古今和歌集の中にも登場しています。
当時のバラの絵は現存しておらずどのような様子かは定かではありません。
きっと気品溢れる優雅な雰囲気というよりは、日本らしく控えめで可憐な花だったのではないでしょうか。
今回は、そのバラにちなんだお菓子をご紹介します。
外郎で模ったバラのお菓子。
手数をかけずに作られているにもかかわらず気品と優雅さを感じ、幸せな気分となります。
菓銘には、花の品種名ではなく、バラの花を見た人々の心情が名付けられています。
職人さんの人柄を感じることができるお菓子です。


イメージ01

2017年5月30日

菓銘『甘い水』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください。)


5月も残すところわずか。
5月下旬に入り、カラッとした空気から少し湿度を含む空気へと変わってきたように感じます。
その気候を待っていたかのように疏水や禊川などでは、ホタルが仄かなあかりを灯しています。
何とも言えない安らぎと癒しを与えてくれる不思議な情景です。
『夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。』
と清少納言が枕草子で綴っています。
今も昔も変わらない優しいホタルのあかり。
そのあかりに寄せる人々の思いが、いつまでも不変であることを切に願って今回のお菓子をご紹介させて
いただきます。
清らかな川の水を葛で涼し気に表現して外郎で包んでいます。
手のひらにのせて愛でていると川のせせらぎが聴こえてきそうなこの時期ならではのお菓子です。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


お仕事・取材のお問い合わせ

〒600-8411
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸4F
京都Loversフォーラム
e-mail kyoto.lovers.forum@gmail.com