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京都和菓子歳時記−2017年1月−・きょうの『和菓子の玉手箱』

和菓子歳時記ー2018年9月ー

和菓子ライフデザイナー小倉夢桜−Yume−が
ご紹介する京都の素敵な和菓子の世界。
新たな京都を感じてみませんか。

ギャラリー

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2018年9月5日

菓銘『着綿』
聚洸
京都市上京区大宮寺之内上ル
(075)431-2800
(ご購入の際はお問い合わせください。)


9月となり、あちらこちらで秋を感じられるようになってきました。
旧暦では、9月は『長月』。
その由来は諸説ありますが、夜がだんだん長くなることから『夜長月』と呼ばれ、それを略したという説が有力とされています。

耳を澄ませば、様々な虫たちの声が聞こえてきます。
時には、夜風にあたりながら虫の音色をBGMにして過ごしてみるのもいいのではないでしょうか。

京都市内では、今月も様々な年中行事が執り行われます。
その中でも、まず忘れてならないのが9月9日に行われる五節句の一つである『重陽の節句』です。
1月7日の『人日の節句』から始まり、3月3日の『上巳の節句』、5月5日の『端午の節句』、
7月7日の『七夕の節句』、そして早いもので今年最後の節句となります。

古来より、奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考えられてきました。
その縁起の良い奇数が連続する日、特に9月9日は『9』という一番大きな陽数が重なる日として重んじられました。
そこから『重陽の節句』と呼ばれるようになりました。

菊の花が邪気を払い長寿に効くとされ、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲み不老長寿を願います。
上賀茂神社をはじめとする京都の寺社では、重陽の節句の神事が執り行われ菊酒の接待が行われるところも
ありますので出かけてみてはいかがでしょうか。

今回は『重陽の節句』にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
『重陽の節句』が近づく頃、京都の和菓子屋には『着綿(きせわた)』というお菓子を見かけるようになります。
8日の夜に菊に綿をかぶせ、9日に露で湿ったその綿で体を拭い長寿を祈る『菊の着綿(きくのきせわた)』という
習わしがあります。

この習わしは、平安時代・宇多天皇の御代、宮中で重陽の行事として行われていたことが、『紫式部日記』などに
書き記されています。
現在では新暦となり、菊の開花にはまだ早く、夜露が降りることもない為、その風習を身近に見かけることは
ありません。
それゆえに他の節句に比べてこの習わしをご存知でない方も多いことだと思います。
その『菊の着綿』を表現したお菓子がこちらです。
みなさんも、長寿を願い、ご家族で召し上がってみてはいかがでしょうか。


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2018年9月12日

菓銘『感謝の心』
長久堂
京都市北区上賀茂畔勝町97-3
(075)712-4405
(ご購入の際はお問い合わせください。)


猛暑が過ぎ去りほっと一息もつかの間、台風21号の上陸によって京都市内も甚大な被害を受けました。
至る所で台風の爪痕が残っており、秋の観光シーズンへの影響だけに限らず、来年の桜シーズンにも少なからず
影響が出るのではと案じています。
ただただ、一日も早い復旧を祈るばかりです。

今年最後の節句『重陽の節句』が終わり次は『敬老の日』。
祝日法によれば『多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う』のが敬老の日となっています。
今回は、その敬老の日にちなんだお菓子のご紹介です。

花束をとても可愛らしく表現した意匠。
プレゼントされたおじいちゃんおばあちゃんの喜ぶ表情が目に浮かんできます。
私たちが知らない古き良き京都の風景の中で暮らしてこられた、おじいちゃんおばあちゃんたちが語る話。
「そんな京都の風景があったんだ。」と、とても感慨深いものがあります。
和菓子を食べながら過ごすひと時。
敬老の日に感謝の心を贈ってみませんか。


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2018年9月19日

菓銘『水面の月』
千本玉壽軒
京都市上京区千本通今出川上ル
(075)461-0796
(ご購入の際はお問い合わせください。)


すっきりとしない天候が続いていた京都市内。
秋の長雨のことを秋霖(しゅうりん)と表現しますが、その響きは情緒ある京都の風情にはよく似合います。
情緒ある風情といえば、9月24日の『中秋の名月』。

京都では様々な寺社で舞楽の奉納や茶席などを楽しみながら名月を愛でることができます。
中でも大覚寺で行われる『観月の夕べ』は大変人気がある行事です。
大沢池に浮かぶ龍頭(りゅうとう)と鷁首(げきしゅ)の舟上から静かに眺める名月は格別です。
今年は先日の台風21号の影響で甚大な被害が出た為、『観月の夕べ』は残念ながら中止が決定しました。
(一時はすべての拝観を停止していましたが、現在は一部を除いて拝観が可能となっています。)
一日も早い復旧を祈るばかりです。

今回のお菓子は、『観月の夕べ』に想いを馳せてご紹介させていただきます。
例年、観月の夕べの茶席では上生菓子をいただくことができます。
召し上がられた方は、きっとこちらのお店のお菓子をいただいていることでしょう。

こちらのお店が作られる月にちなんだお菓子の意匠はどれも美しいものばかり。
お菓子を愛でると、虫の音が聴こえ、夜空に浮かぶ満月の情景が目に浮かんできます。
その中の一つがこちらの意匠のお菓子です。

平安時代の貴族たちのお月見は、現代とは違い夜空を見上げて月を直接見ることはしなかったそうです。
水面に映して揺れる月を愛でながら歌を詠んだそうです。
そのような情景が思い浮かぶ、とても綺麗な色合いの外郎製のお菓子です。
なんとも風流なお月見ですね。



profile

小倉 夢桜−Yume− (おぐら ゆめ)

京都在住。
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファーとして、四季折々の京都を発信。
手のひらにのせた和菓子から小さな幸せを感じ、『手のひらの幸せ』をより多くの方に伝えたい!
その想いから2012年より、自身が立ち上げた【きょうの『和菓子の玉手箱』】。
こちらでは京都の素敵な和菓子たちの世界を毎日お届けしている。
立ち上げて以来、自身が食べた和菓子の数は数千個に及ぶ。
数々の和菓子を見て、食べて感じた経験を活かして、テレビ番組製作の監修をはじめ、執筆活動や講演など
京都の和菓子をより多くの方に身近に感じていただく活動を行っている。
現在は月刊京都(白川書院)で【月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』】を連載中。


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