月刊京都連載 和菓子歳時記
2018
125

京の冬

師走に入り、各所でイルミネーションが光り輝き、一気にクリスマスの雰囲気となった京都市内です。
クリスマスは、まだしばらく先ですがイルミネーションの輝きを目にすると、
「もう今年もあとわずか。」
と気持ちばかりが焦ってしまいます。
そんな時は、和菓子でほっこりと気分転換。
私と同じように気持ちばかりが焦ってしまうという方はいかがでしょうか。
季節感のある和菓子を手のひらにのせて、愛でながらいただく和菓子。
きっと、心が癒されるはずです。
今回は京都の冬に欠かせない食材にちなんだ意匠のお菓子をご紹介させていただきます。

師走の京都市内では『大根焚き(だいこだき)』という年中行事が行われます。
この時期に大根を食べると中風にかからないといわれ、様々な寺院で執り行われます。
なかでも、毎年12月7日と8日に千本釈迦堂で行われる『大根焚き』は、京都に暮らす人々はもとより、他府県からも多くの人々がお越しになります。
大きなお鍋で焚かれた、聖護院大根と油揚げの湯気と香ばしい香りが境内に広がり、食欲をそそります。
そして、もう一つ。
京都の冬の味覚を代表する千枚漬け。
漬け物職人さん達が聖護院かぶらを小気味よい音を響かせながら薄く削っていく光景は冬の京都そのものです。

「聖護院大根と聖護院かぶらのどちらかに似せることもなく、抽象的な意匠にさせてもらっています。
召し上がられる方がそれぞれの風景を目に浮かべていただければと思っています。」
聖護院大根にも、聖護院かぶらにも似た上用饅頭に『京の冬』と名付けることで様々な京都の冬の情景が目に浮かんできます。
みなさんには、どのような風景が目に浮かぶでしょうか。
菓銘京の冬
店名笹屋春信
住所京都市西京区桂乾町66-1
電話(075)391-4607
2018
1212

垣根

明日、12月13日は『事始め』。
この日からお正月の準備にとりかかります。
北野天満宮では、元旦の朝に祝膳の初茶として欠かすことのできない『大福梅』の授与が『事始め』の日より始まります。

和菓子の世界では、この日からお正月にいただく数多くの賀正菓子の見本をお重に入れてご贔屓のご家庭に赴き、注文を受けて回る『御用聞き』という文化が行われます。
しかしながら、時代の流れによって今では、ごく限られたところだけに残っている文化となってしまいました。
今年もそのような話題を記事にする時期となりました。

この時期、京都市内を散策していると至るところで垣根に咲く花を見かけます。
葉の美しさから生垣に多く使われる山茶花の花です。
冬の季語である山茶花は日本の固有種です。

童謡『たき火』でも歌われるほど、私たち日本人にとっては、とても馴染みのある花の一つ。
今回は、その山茶花にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
凛とした冷たい空気の中で咲く山茶花を外郎(ういろう)で模ったお菓子です。

花の色合いをあえて薄くすることによって生れる寒い冬の情景。
情景は寒くとも、お菓子の優しい曲線美が私たちの心を温めてくれます。
職人さんの人となりまでを感じる素敵なお菓子です。
菓銘垣根
店名茶寮・宝泉
住所京都市左京区下鴨西高木町25
電話(075)712-1270
2018
1219

子供の夢

街に華やかに輝くイルミネーション。
楽しそうに行き交う人々。
年末らしい光景が目の前に広がります。
来週はクリスマス。
みなさんは、どのようなクリスマスをお過ごしになられることでしょうか。
近年では、クリスマスケーキの代わりに和菓子でクリスマスを過ごす方が増えてきているそうです。
この時期、和菓子屋にはクリスマスにちなんだ意匠のお菓子が並びます。
クリスマスツリーやサンタさん、トナカイなどをモチーフにした様々なお菓子たち。
見ているだけでも自然と笑みがこぼれます。
今回は、そんな数多くあるクリスマスにちなんだお菓子の中から一つご紹介させていただきます。

白い息を吐きあいながら無邪気に遊んでいる子供達。
その姿を嬉しそうに見守るお母さん。
薄っすらと雪化粧をした先日の大原の山里。
子供達は、きっと、無心になって雪だるまを作ったことでしょう。
サンタの帽子をかぶった愛らしい雪だるまは、子供達の夢を叶えてくれることでしょう。
菓銘子供の夢
店名長久堂
住所京都市北区上賀茂畔勝町97-3
電話(075)712-4405
2018
1226

えくぼ

「よいお年を!」という年末ならではの挨拶を交わすことが増えてきました。
終い天神が終わり、明日(12月27日)は知恩院で除夜の鐘の試し撞きが行われます。
その鐘の音が祇園界隈に響き渡ると大晦日まで残すところあと僅かだという実感が湧いてきます。

今年も様々な出来事が私の周りで起こった一年でした。
そんな時、いつも和菓子が私に和みと癒しを与えてくれます。
今年最後のお菓子は、新年に向けて願いを込めてご紹介させていただきます。

慶事の折に用いられる『えくぼ薯蕷』と呼ばれるお菓子。
微笑んだ際にできるえくぼを表現しているお菓子です。

みなさんにとって2019年が笑顔の満ち溢れる年となりますように。
今年も私の記事にお付き合いくださいましてありがとうございました。
素敵な年越しをお過ごしください。
来年も宜しくお願い致します。
菓銘えくぼ
店名笹屋春信
住所京都市西京区桂乾町66-1
電話(075)391-4607
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