月刊京都連載 和菓子歳時記
2018
7月4日
鉾餅

7月に入り四条烏丸界隈から祇園八坂神社にかけての一帯では、祇園祭の雰囲気を色濃く感じられるようになってきました。
祇園祭は山鉾巡行だけではなく、7月1日より始まり7月31日までの一ヶ月間にわたり様々な神事が執り行われます。
八坂神社の御神紋であり、祇園祭の象徴として扱われる紋『左三つ巴』と『五瓜に唐花』を至るところで見かけるこの時期。
そして、祇園囃子が「コンチキチン」と鳴り響きます。
一年を通じて囃子方(はやしかた)が行ってきた練習。
四条烏丸界隈で暮らしていると、その祇園囃子がどこからともなく聞こえてきます。
同じ祇園囃子でも、7月に聞こえてくる祇園囃子はやはり格別です。
蒸し暑い京都の夏には祇園囃子は欠かせません。
祇園祭が行われる界隈で営む和菓子店にも祇園祭にちなんだお菓子が並びはじめました。
今回は、そのお菓子の一つをご紹介させていただきます。
数多くある祇園祭にちなんだお菓子ですが、鉾にちなんだお菓子は私が知る限りでは意外にも数えるほどしかありません。
7月17日に行われる山鉾巡行・前祭で先頭をつとめる長刀鉾。
その長刀鉾の『あみ隠し』を模ったのが今回のお菓子です。
お菓子を立たせることにより立体的な意匠となっています。
10年ほど前より販売を始めたお菓子ですが、今ではこの時期の代表的なお菓子の一つとして多くの方が買い求められます。
「仕上がりが美しくなるように、焼皮に焦げ目がつかないように焼いています。」と語るご主人。
もっちりとした焼皮は癖になる食感。
その焼皮でピンク色の白味噌餡を包んでいます。
白味噌餡が苦手な方はご安心ください。
近年、白味噌餡が苦手な方のために、つぶあん入りのお菓子の販売も始まりました。
こちらのお菓子を愛でながら、祇園囃子が鳴り響く中、勇壮に進む長刀鉾の姿を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
祇園祭は山鉾巡行だけではなく、7月1日より始まり7月31日までの一ヶ月間にわたり様々な神事が執り行われます。
八坂神社の御神紋であり、祇園祭の象徴として扱われる紋『左三つ巴』と『五瓜に唐花』を至るところで見かけるこの時期。
そして、祇園囃子が「コンチキチン」と鳴り響きます。
一年を通じて囃子方(はやしかた)が行ってきた練習。
四条烏丸界隈で暮らしていると、その祇園囃子がどこからともなく聞こえてきます。
同じ祇園囃子でも、7月に聞こえてくる祇園囃子はやはり格別です。
蒸し暑い京都の夏には祇園囃子は欠かせません。
祇園祭が行われる界隈で営む和菓子店にも祇園祭にちなんだお菓子が並びはじめました。
今回は、そのお菓子の一つをご紹介させていただきます。
数多くある祇園祭にちなんだお菓子ですが、鉾にちなんだお菓子は私が知る限りでは意外にも数えるほどしかありません。
7月17日に行われる山鉾巡行・前祭で先頭をつとめる長刀鉾。
その長刀鉾の『あみ隠し』を模ったのが今回のお菓子です。
お菓子を立たせることにより立体的な意匠となっています。
10年ほど前より販売を始めたお菓子ですが、今ではこの時期の代表的なお菓子の一つとして多くの方が買い求められます。
「仕上がりが美しくなるように、焼皮に焦げ目がつかないように焼いています。」と語るご主人。
もっちりとした焼皮は癖になる食感。
その焼皮でピンク色の白味噌餡を包んでいます。
白味噌餡が苦手な方はご安心ください。
近年、白味噌餡が苦手な方のために、つぶあん入りのお菓子の販売も始まりました。
こちらのお菓子を愛でながら、祇園囃子が鳴り響く中、勇壮に進む長刀鉾の姿を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
菓銘 | 鉾餅 |
店名 | 鍵甚良房 |
住所 | 京都市東山区大和大路通四条下ル小松町140 |
電話 | (075)561-4180 |
2018
7月11日
鉾巡り

祇園祭・前祭の山鉾建てが始まった四条烏丸界隈。
釘を一切使用せず木と縄だけで大きな鉾を組み上げていきます。
昔より受け継がれてきた『縄がらみ』と呼ばれる伝統的な技法です。
明日からは、鉾の曳き初めが始まり、四条烏丸界隈は一気に活気づくことでしょう。
真っ赤に染まる西の空を背景に曳き初めを終えた鉾が立ち並ぶ四条烏丸。
その光景を楽しみにして一年を過ごしてきたと言っても過言ではありません。
再開発が進む京都市内。
街の風景が変わろうとも、古来より脈々と受け継がれてきた祇園祭に関わる人々の想いは変わることはありません。
きっと、勇壮な鉾の姿からその想いを感じることでしょう。
今回は祇園祭にちなんだお菓子をご紹介します。
日がくれて駒形提灯に灯が灯り、祇園囃子に誘われるように四条烏丸界隈を夕涼み。
鉾を巡りながら、貴重な文化財を身近に感じる贅沢なひと時。
鉾からは囃子方が演奏する祇園囃子が流れ、山では浴衣姿の子供たちが、ちまき売りのわらべ歌を元気よく歌います。
駒形提灯がゆらめく夜。
美しい鉾の姿を表現した外郎製のお菓子です。
釘を一切使用せず木と縄だけで大きな鉾を組み上げていきます。
昔より受け継がれてきた『縄がらみ』と呼ばれる伝統的な技法です。
明日からは、鉾の曳き初めが始まり、四条烏丸界隈は一気に活気づくことでしょう。
真っ赤に染まる西の空を背景に曳き初めを終えた鉾が立ち並ぶ四条烏丸。
その光景を楽しみにして一年を過ごしてきたと言っても過言ではありません。
再開発が進む京都市内。
街の風景が変わろうとも、古来より脈々と受け継がれてきた祇園祭に関わる人々の想いは変わることはありません。
きっと、勇壮な鉾の姿からその想いを感じることでしょう。
今回は祇園祭にちなんだお菓子をご紹介します。
日がくれて駒形提灯に灯が灯り、祇園囃子に誘われるように四条烏丸界隈を夕涼み。
鉾を巡りながら、貴重な文化財を身近に感じる贅沢なひと時。
鉾からは囃子方が演奏する祇園囃子が流れ、山では浴衣姿の子供たちが、ちまき売りのわらべ歌を元気よく歌います。
駒形提灯がゆらめく夜。
美しい鉾の姿を表現した外郎製のお菓子です。
菓銘 | 鉾巡り |
店名 | 千本玉壽軒 |
住所 | 京都市上京区千本通今出川上ル |
電話 | (075)461-0796 |
2018
7月18日
巡行

連日、記録的な暑さが続く京都市内。
そんな中、始まった祇園祭・前祭。
例年であれば、宵山期間中に夕立が降り、雷鳴がとどろく天候となるのですが、今年はどうも様子が違います。
宵山期間中に一度も雨が降ることなく終えました。
「今年は、夕立が降りませんなぁ。いつもやったら、宵山に激しい雨が降って梅雨明けやのに。
早うに梅雨明けしてしもたから、どうも感覚が狂いますなぁ。」
京都で長年暮らす人々との会話の中にもそのような話題が出てきます。
そして昨日、夏空の下で行われました前祭の山鉾巡行。
今年も、多くの観光客が集まり沿道を埋め尽くしました。
鉾が方向転換する『辻回し』では、水をかけられた青竹の上を鉾が滑って動く度に沸く歓声。
きっと、今も昔も変わらない光景なのでしょう。
その後、夕刻よりはじまった神幸祭。
八坂神社から出てきた中御座、東御座、西御座の3基の神輿。
「ほいっと!ほいっと!」という掛け声と共に氏子地域を勇ましく進んでいきます。
四条御旅所に入り、鎮座された3基の神輿は7月24日まで祀られます。
今回は山鉾巡行にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
夏空の下、じりじりと照りつける陽射し。
そして、蝉しぐれが鳴り響く中、豪華な懸装品で彩られた山鉾がゆっくりと進んでいきます。
その様子を『きんとん』と『こなし』で表現したお菓子です。
こちらのお菓子のように後祭の山鉾巡行も青空の下で行われるといいですね。
そんな中、始まった祇園祭・前祭。
例年であれば、宵山期間中に夕立が降り、雷鳴がとどろく天候となるのですが、今年はどうも様子が違います。
宵山期間中に一度も雨が降ることなく終えました。
「今年は、夕立が降りませんなぁ。いつもやったら、宵山に激しい雨が降って梅雨明けやのに。
早うに梅雨明けしてしもたから、どうも感覚が狂いますなぁ。」
京都で長年暮らす人々との会話の中にもそのような話題が出てきます。
そして昨日、夏空の下で行われました前祭の山鉾巡行。
今年も、多くの観光客が集まり沿道を埋め尽くしました。
鉾が方向転換する『辻回し』では、水をかけられた青竹の上を鉾が滑って動く度に沸く歓声。
きっと、今も昔も変わらない光景なのでしょう。
その後、夕刻よりはじまった神幸祭。
八坂神社から出てきた中御座、東御座、西御座の3基の神輿。
「ほいっと!ほいっと!」という掛け声と共に氏子地域を勇ましく進んでいきます。
四条御旅所に入り、鎮座された3基の神輿は7月24日まで祀られます。
今回は山鉾巡行にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
夏空の下、じりじりと照りつける陽射し。
そして、蝉しぐれが鳴り響く中、豪華な懸装品で彩られた山鉾がゆっくりと進んでいきます。
その様子を『きんとん』と『こなし』で表現したお菓子です。
こちらのお菓子のように後祭の山鉾巡行も青空の下で行われるといいですね。
菓銘 | 巡行 |
店名 | 長久堂 |
住所 | 京都市北区上賀茂畔勝町97-3 |
電話 | (075)712-4405 |
2018
7月25日
水面(みなも)

祇園祭一色となっている四条烏丸界隈から祇園・八坂神社一帯ですが、後祭の山鉾巡行、還幸祭を終えて残すところ
あとわずかとなりました。
ニュースで連日のように報道されています今年の酷暑。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
『京都の夏は暑い!』とよく表現されますが、暑い夏の京都を乗り切るための一つが土用の丑の日の『鰻』。
こちらは京都だけに限らず、みなさんご存知の全国的な習わしです。
そして、今年は土用の丑の日から下鴨神社で始まった『みたらし祭』。
『足つけ神事』とも呼ばれ、毎年、土用の丑の頃に行われる、平安時代より続く京都の夏の神事です。
境内の御手洗池に足を膝まで浸しながらロウソクを供えます。
その後、『鴨のくぼて』と呼ばれている茶碗に注がれたご神水を飲み干すと無病息災が叶うとされています。
今回はその『みたらし祭』にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
下鴨神社と縁があるこちらのお店が作られている御手洗池の水面をイメージしたお菓子。
鎌倉時代より言い伝えられている御手洗池の水泡。
『みたらし団子』は、その水泡を模して作られたと伝わります。
錦玉羹の中に泡に見立てた白あんを入れて、錦玉羹に観世水の文様を入れて水面を表現しています。
「こちらのお菓子は、御手洗池の水面をイメージして作っていますが、御手洗池をご存知ない方もいらっしゃるので、固有名詞ではなく抽象的な菓銘にさせてもろてます。」
と語る職人さん。
御手洗池をご存知な方も、ご存知でない方も、この時期らしいお菓子で涼をとってみてはいかがでしょうか。
あとわずかとなりました。
ニュースで連日のように報道されています今年の酷暑。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
『京都の夏は暑い!』とよく表現されますが、暑い夏の京都を乗り切るための一つが土用の丑の日の『鰻』。
こちらは京都だけに限らず、みなさんご存知の全国的な習わしです。
そして、今年は土用の丑の日から下鴨神社で始まった『みたらし祭』。
『足つけ神事』とも呼ばれ、毎年、土用の丑の頃に行われる、平安時代より続く京都の夏の神事です。
境内の御手洗池に足を膝まで浸しながらロウソクを供えます。
その後、『鴨のくぼて』と呼ばれている茶碗に注がれたご神水を飲み干すと無病息災が叶うとされています。
今回はその『みたらし祭』にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
下鴨神社と縁があるこちらのお店が作られている御手洗池の水面をイメージしたお菓子。
鎌倉時代より言い伝えられている御手洗池の水泡。
『みたらし団子』は、その水泡を模して作られたと伝わります。
錦玉羹の中に泡に見立てた白あんを入れて、錦玉羹に観世水の文様を入れて水面を表現しています。
「こちらのお菓子は、御手洗池の水面をイメージして作っていますが、御手洗池をご存知ない方もいらっしゃるので、固有名詞ではなく抽象的な菓銘にさせてもろてます。」
と語る職人さん。
御手洗池をご存知な方も、ご存知でない方も、この時期らしいお菓子で涼をとってみてはいかがでしょうか。
菓銘 | 水面(みなも) |
店名 | 茶寮・宝泉 |
住所 | 京都市左京区下鴨西高木町25 |
電話 | (075)712-1270 |