月刊京都連載 和菓子歳時記
2019
36

桜もち

弥生となって約一週間。
本格的な春の訪れを感じるようになってきました。

本日は二十四節気では、『啓蟄』。
冬眠していた虫たちが春の訪れを感じて穴から出てくる頃です。
予報では今年は寒の戻りはなく、順調に暖かくなっていくそうです。
虫たちにとっても嬉しい知らせですね。

様々な和菓子屋の軒先で『桜餅』の張り紙を見かける時期となってきました。
和菓子にあまり興味を持っていない方でも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。
日本人にとっては、とても慣れ親しんだお菓子の一つである桜餅。
春を味覚からも存分に感じることができるお菓子です。

小麦粉などで生地を焼いた皮で餡を巻き、塩漬けした桜葉で巻いた関東風の『長明寺』。
そして、道明寺粉を使用して餡を包み、その後、塩漬けした桜葉で包んで仕上げた関西風の『道明寺』。
皆さんは、どちらの桜餅がお好みでしょうか。

今回ご紹介させていただくお店では、焼皮製と銘柄米『滋賀羽二重』を使用した生糯米(なまもちごめ)製の二種類の桜もちが販売されています。
口当たりのとても良い特製の『皮むき小豆餡』。
その『皮むき小豆餡』と焼皮製、生糯米製はともに相性抜群です。
とてもあっさりしていて、ついつい手が伸びてしまいます。
機会があればぜひ召し上がていただきたい桜餅です。
菓銘桜もち
店名游月
住所京都市左京区山端壱町田町8-31
電話(075)711-1110
2019
313

初蝶

一条戻橋や三条大橋の袂(たもと)に植えられている河津桜が先週より見頃を迎えています。
裸木の中に一際色鮮やかに咲いている河津桜。
その様子に行きかう人々は、足を止めて写真を撮ったりしながら春の訪れを感じてひと時を過ごされています。

そして、出町柳駅すぐにある長徳寺のオカメ桜の蕾が少しづつほころび始めてきました。
いよいよ、今年もこの季節が目前にまでやってきました。

この本格的な桜シーズンを迎える前に毎年行われているのが『東山花灯路』です。
先週の金曜日(3月8日)より始まっており、日曜日(3月17日)まで行われます。
2003年より始まったこちらのイベントですが、今では京都市民はもとより、観光客にも認知され、この時期の
風物詩として多くの人出で賑わうようになりました。
観光地として名高い東山エリアを行灯の仄かな灯りで足元を照らし、風情ある京都を演出しています。
また、八坂神社で行われる舞妓さんの舞の奉納をはじめとする様々な公演も見どころの一つです。

今回は、この東山花灯路エリアにある和菓子店のお菓子をご紹介させていただきます。
葛切りと菊寿糖で有名なこちらのお店。
本店は八坂神社西楼門から四条通りを西へ歩いて3分ほどのところにありますが、東山花灯路が行われている
エリアに高台寺店があります。

こちらの店頭でも販売されている色鮮やかなお菓子。
その色合いについ目がとまります。
啓蟄となったこの時期に最適な蝶々の焼印を施した外郎製のお菓子です。
東山花灯路に行かれる際に立ち寄って春を感じてみてはいかがでしょうか。
(営業時間は18時までとなっておりますのでご注意ください。)
菓銘初蝶
店名鍵善良房・高台寺店
住所京都市東山区下河原通高台寺表門前上る
電話075-525-0011
2019
320

野遊び

今年は、例年以上の花粉の飛散量となり、花粉症の方にとってはとても大変な時期となっているのではないでしょうか。
他人事ではなく、私も花粉症なので大変です。
花粉のことを考えると一歩も外へ出たくないのが本音ですが、桜の開花が気になり、つい出かけてしまいます。

淀水路沿いの河津桜が満開を迎え、先週は蕾だった出町柳駅すぐにある長徳寺のオカメ桜も見頃となりました。
長徳寺のオカメ桜は、見頃期間が短いため、この記事を目にされている時は、もう散りはじめているかもしれません。
例年であれば、長徳寺のオカメ桜が散り始めると、京都御苑・近衛邸の糸桜の開花が始まり、次々と早咲き桜の開花が始まります。
今年の桜シーズンは、昨年に京都を襲った台風21号の影響でどのようなになるのか心配していましたが順調に蕾が膨らんでいるようです。
花開く桜の様子を見た時は、とても感慨深い気持ちでいっぱいになりそうです。

今回は、桜と春の芽吹きを淡い二色の色合いで表現したお菓子をご紹介させていただきます。
春の香り(蓬)が口の中で広がるお菓子。
春を感じた瞬間、自然と幸せな気分になります。
小さな幸せですが、この幸福感が和菓子の魅力だと感じさせてくれるお菓子です。
菓銘野遊び
店名茶菓 えん寿
住所京都市右京区太秦多藪町14-93
電話(075)432-7564
2019
327

衣手

京都の春を告げる『北野をどり』が上七軒歌舞練場で先日より始まりました。
その上七軒歌舞練場の近くにある平野神社の魁桜が北野をどりの開幕に合わせるかのように花開き、見頃へと向かっています。
昨年、上陸した台風21号によって拝殿の倒壊や桜の倒木など、甚大な被害を受けたこちらの神社。
まだ、その爪痕は残ったままです。
その様子を見る度に、あの時の凄まじい台風の記憶が甦ってきます。

桜好きの私にとっては、特別な思い入れのある神社です。
私だけでなく、きっと、京都の桜が好きな方にとっては思い入れのある神社ではないでしょうか。
これから平野神社へお花見にお出かけの際には、お賽銭はもちろんのこと、お守りなどを授与してもらっていただき少しでも復興にご協力していただければと思います。
また、毎月定期的に復興コンサートやチャリティーヨガが催されていますので、そちらにもご興味をもっていただければ幸いです。
みなさんのご協力によって、一日も早い復興を願うばかりです。

昨日の3月26日から七十二候では『桜始開(さくらはじめてひらく)』です。
文字通り、桜の花が咲き始める頃です。
今回は桜にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
着物の袖を意味する『衣手』は、よく和歌に用いられてきました。
その袖を外郎で表現しています。
桜が咲き始めたこの時期らしく、薄紅色でほんのりとした色合いに仕上げられているお菓子です。
菓銘衣手
店名長久堂
住所京都市北区上賀茂畔勝町97-3
電話(075)712-4405
prev前月 次月next

きょうの和菓子の玉手箱きょうの和菓子の玉手箱

きょうのお菓子

月刊京都連載
和菓子歳時記

スマートフォン、タブレットを縦にしてご覧ください。