月刊京都連載 和菓子歳時記
2019
87

星月夜

暑い日々が続いている京都市内ですが、明日8月8日は暦の上では『立秋』です。
この日を境にして少しずつ、小さな秋を感じられることでしょう。
今年も旧暦の七夕に合わせて行われる夏の風物詩『京の七夕』が行われています。
今年は『堀川エリア』、『鴨川エリア』をはじめ『梅小路エリア』、『北野紙屋川エリア』、『宮津市エリア』の5会場で行われます。
開催日が異なりますので事前に調べてからお出かけください。

今回は、旧暦の七夕にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
『立秋』に相応しく、秋の季語である『星月夜』が菓銘になっている葛製のお菓子です。
あまり見かけることがない斬新な色合いのお菓子ですが、お菓子の中にまるで夜空が広がっているみたいです。
菓銘星月夜
店名千本玉壽軒
住所京都市上京区千本通今出川上ル
電話(075)461-0796
2019
814

雷(いかづち)の宮

穏やかな気持ちになることができるお盆。
ご先祖様を身近に感じて過ごすことの大切さ。
この時期は、人々にとって特別な想いで溢れます。
京都では、様々なお寺の境内の灯籠にあかりが灯され、幻想的な厳かな雰囲気となっています。

8月16日はお迎えしたご先祖様が、極楽浄土へと道に迷うことなく帰れるよう送る日。
五山の送り火の炎が京都の夏の夜空を染めます。
送り火にむかって手を合わせる京都に暮らす人々の姿。
観光行事としてではなく、ご先祖様に願いを込めて送る宗教行事として、後世にいつまでも伝わってほしいものです。

今回は、送り火にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
送り火にちなんだお菓子のほとんどが『大』をモチーフにしたものです。
今回のお菓子はとても珍しい船形をモチーフにしたお菓子です。

朱塗りの一の鳥居、二の鳥居をくぐると立砂と呼ばれる細殿前の円錐状の2つの砂の山。
そして、国宝の本殿と権殿。
すべてが貴重な文化財であり、世界遺産にも登録されている『上賀茂神社』。
上賀茂神社の呼び名で親しまれていますが、正式名称は『賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)』。
そこから名付けられているお菓子です。

船形の送り火が一番よく見える場所は、上賀茂神社近くにある御園橋から下流へ行った上賀茂橋です。
ご先祖様のことを想い、夏に別れを惜しみながら召し上がってみてはいかがでしょうか。
菓銘雷(いかづち)の宮
店名長久堂
住所京都市北区上賀茂畔勝町97-3
電話(075)712-4405
2019
821

深山の雪

今年も五山の送り火が無事に灯されて、京都の夏は秋へと移ろいます。
朝夕だけは、一時のような暑さはなくなりましたが、日中はまだまだ夏の暑さが続いています。

今回は、耳からも涼しさを感じるお菓子をご紹介させていただきます。
菓銘から「えっ、夏なのに雪?」と、
和菓子に詳しい方は、疑問に思われるかもしれません。

今では少し想像もつきませんが、その昔、洛中から遠く離れた山間には夏でも残雪があったそうです。
洛中の人々は、その残雪に想いを募らせて暑い京都の夏を過ごされたのかもしれません。
雪と山肌の岩を表現した葛製のお菓子です。
菓銘深山の雪
店名鍵甚良房
住所京都市東山区大和大路通四条下ル小松町140
電話(075)561-4180
2019
828

もらい水

京都市内は、ようやく日が暮れてから過ごしやすくなってきました。
秋の虫たちが、心地よい音色を聞かせて私たちに秋の訪れを知らせてくれます。
翌朝には、朝顔が夜明けの空気を吸い込むように花開きます。
今では、夏のイメージが強い朝顔ですが、そもそもは秋の季語として用いられてきた花です。
今回は、その朝顔をモチーフにしたお菓子をご紹介させていただきます。

『朝顔につるべ取られてもらい水』
江戸時代の有名な女性俳人である加賀千代女(かがのちよじょ)の俳句です。

【朝起きて井戸に水を汲みに来てみると、朝顔のつるがつるべに巻きついていて水が汲めません。
切ってしまうのがかわいそうなので、近所に水をもらいに行きました。】という内容です。
その俳句から名付けられているのが今回のお菓子です。

朝顔に朝露がついた情景を一粒の錦玉をあしらうことによって表現しています。
初秋の落ち着いた朝を感じる外郎製のお菓子です。
菓銘もらい水
店名船屋秋月
住所京都市右京区宇多野福王子町13-3
電話(075)463-2624
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