月刊京都連載 和菓子歳時記
2019
94

着せ綿

京都市内は、酷暑が過ぎ去り、ようやく寝苦しい日々から解放されました。
22時を過ぎても30℃を超えている日々が続くなんて、ひと昔前では考えられないことですね。
この酷暑が植物たちにどのような影響を与えているのかが気がかりです。

9月に入ると先ず行われる大きな行事が、9月9日に行われる今年最後の節句『重陽の節句』です。
菊の節句と聞けば親しみがわく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
古来より、奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考えられてきました。
特に重んじられていたのが『9』という一番大きな陽数が重なる日『9月9日』。
そこから『重陽の節句』と呼ばれるようになりました。

京都の社寺では、重陽の神事が執り行われます。
社寺の中には、菊の花びらを浮かべた菊酒の接待を受けて不老長寿を願うことができるところもあります。
邪気を払い長寿に効くとされている菊の花。

今回は、重陽の節句にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
8日の夜に菊に綿をかぶせ、9日に露で湿ったその綿で体を拭い長寿を祈る『菊の着綿(きくのきせわた)』という習わしがあります。
この習わしは、平安時代・宇多天皇の御代、宮中で重陽の行事として行われていたことが、『紫式部日記』などに書き記されています。
その『菊の着綿』を表現したお菓子です。
菓銘着せ綿
店名茶寮 宝泉
住所京都市左京区下鴨西高木町25
電話(075)712-1270
2019
911

月見団子

虫の音を聴きながら過ごす秋の夜。
この時期ならではの楽しみです。
先日まで聞こえなかった新たな虫の音色が加わり、新しい調べを奏でてくれています。
そして、秋の夜空に浮かぶ月。
日毎に満月へと近づいています。

今年は9月13日が中秋の名月。
今週末に京都市内では数多くの中秋の名月にちなんだ行事が行われます。
みなさんは、どのようにお過ごしになられることでしょうか。

今回は、中秋の名月にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
京都では、中秋の名月に収穫への感謝や豊作祈願の意味を込めて里芋をお供えすることから別名を芋名月と呼びます。
京都でよく見かける月見だんごは、真ん丸ではなく、月を里芋の形にして、餡を雲に見立てて作ります。

こちらのお店の月見だんごは、見るからに美味しそう。
京都市内から見える美しい月のように光り輝くお団子。
まろやかな甘みが口の中に広がります。
ご家族、みなさんで月を愛でながら召し上がってみてはいかがでしょうか。
菓銘月見団子
店名長久堂
住所京都市北区上賀茂畔勝町97-3
電話(075)712-4405
2019
918

小萩

9月半ばになってもなかなか本格的な秋の気候になりきらない京都市内です。
先日は、秋の虫の音をかき消すように蝉が鳴いており、季節感のズレを体感しました。
近年は、春と秋が極端に短くなってきたように感じます。
そんな中、仲秋の時期に見頃を迎える萩の花が咲いている様子を目にして少しホッとしました。

毎年、梨木神社ではこの時期、『初秋の調べ 萩まつり』が盛大に行われます。
今年は今週末の9月21日(土)からはじまり23日(月・祝)までの3日間にわたり行われます。
境内で萩の花がこぼれんばかりに咲く頃、舞殿で奉納される狂言や日本舞踊などの伝統芸能を鑑賞して過ごすことができます。

今回は、萩をモチーフにしたお菓子をご紹介させていただきます。
この時期、萩にちなんだお菓子は、多くの和菓子屋で数多く見かける9月を代表する和菓子です。
今の時代、桜のように萩の開花を楽しみにしてお花見に出かける方は少ないかもしれません。
古来より多くの和歌に詠まれてきた萩は、今とは違い親しみある花の一つだったようです。
萩の魅力は何と言っても丸く可愛らしい葉と小さな花。
その様子を表現した外郎製のお菓子には、『萩』ではなく、音の響きの良さから『小萩』と名付けられています。
菓銘小萩
店名笹屋春信
住所京都市西京区桂乾町66-1
電話(075)391-4607
2019
925

栗の子

京都の山間を訪れると、はじけたイガの隙間から栗の実が顔をのぞかせている様子を見かけるようになってきました。
今年も栗好きにとっては、楽しみなこのシーズンがやってきました。
今回のお菓子は、もちろん栗。
栗を存分に楽しめるお菓子をご紹介させていただきます。
愛媛県産の生栗を蒸したのちに丁寧に裏漉ししたものと砂糖のみで作られているお菓子です。
栗そのものの素材の風味を存分に味わうことができるお菓子です。
栗好きの方にとっては、これ以上の幸せはないのではないでしょうか。
菓銘栗の子
店名鍵甚良房
住所京都市東山区大和大路通四条下ル小松町140
電話(075)561-4180
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