月刊京都連載 和菓子歳時記
2020
11

花びら餅

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2020年の幕開け。
みなさんは、どのような新しい一年のはじまりを迎えられたことでしょうか。
みなさんにとって佳き一年となりますように。

今回は、新年を迎えた京都には欠かせないお菓子をご紹介させていただきます。
京都の和菓子屋では、正月になると初春を寿ぐ華やかな、おめでたい意匠のお菓子たちが並びます。
その中の一つが『花びら餅』という祝い菓子です。
京都では、松の内の1月15日まで見かけることができるお菓子です。

花びら餅は、平安時代の新年行事『歯固めの儀式』に由来するものです。
元日から三日まで、押鮎、猪、大根などの硬い食べ物を食べて長寿を願うというものです。
後に簡素化されて押鮎は牛蒡になり、お雑煮に見立てた白味噌餡をお餅で包むようになったと言われています。
菓銘花びら餅
店名緑菴
住所京都市左京区浄土寺下南田町126-6
電話(075)751-7126
2020
18

福の子(ね)

年が明けて早いもので京都ゑびす神社では、本日より『十日ゑびす大祭(初ゑびす)』が始まり、1月12日まで執り行われます。
初詣を兼ねて、京都ゑびす神社へお詣りに行くという方もいらっしゃることだと思います。

2020年は『子(ね)年』。
今年は、哲学の道沿いにある大豊神社の大国主命(オオクニヌシノミコト)を祀る大国社の前に鎮座する狛ねずみにあやかり、多くの参拝者が列を作っています。
参拝するのに2時間待ちという時間帯があるほどの人気ぶりです。
大黒天のお使いがネズミであることから、子年には大黒天に参拝する風習があります。

叡山電鉄『修学院駅』から徒歩15分。
五山の送り火の『法』が灯される松ヶ崎の麓にある寺院『妙円寺』。
都七福神めぐりの霊場としても有名な寺院には、大黒天が鎮座しています。
再び新しい十二支がスタートする年に気分を新たに、大黒天に手をあわせてみてはいかがでしょうか。

今回は、子(ねずみ)にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
妙円寺の最寄駅である叡山電鉄『修学院駅』から歩いて1分ほどのところにあるこちらのお店。
愛らしい耳と色合いが印象的な薯蕷煉切製のお菓子が並びます。
大黒天に参拝した後に子(ねずみ)を模ったお菓子をいただき福を呼んでみてはいかがでしょうか。
菓銘福の子(ね)
店名游月
住所京都市左京区山端壱町田町8-31
電話(075)711-1110
2020
115

初夢

毎年、1月の中旬(2020年は1月16日)に皇居・宮殿では『歌会始(うたかいはじめ)の儀』が開かれます。
2020年のお題は『望』。
そのお題に合わせて作られたお菓子を勅題菓と呼びます。
今回は、その勅題菓をご紹介させていただきます。
月刊京都2020年1月号・連載『季節の京菓子』でもご紹介させていただきましたお菓子を少し変えたものです。
新年を迎えるとともに、望みを叶えてもらうために神社には多くの参拝者が初詣に訪れます。
新春らしく紅白の梅の花をあしらい、絵馬を模った外郎製のお菓子です。
みなさんにとっての望みはなんでしょうか。
心穏やかな一年となりますように。
菓銘初夢
店名二條若狭屋
住所京都市中京区二条通小川東入る西大黒町333-2
電話(075)231-0616
2020
122

梅の香

東寺の初弘法が終わり、今週末(1月25日)には北野天満宮で初天神が行われます。
蕾がほころびはじめた境内の梅からひと足早く、春を感じることができます。
来月の今頃は、多くの蕾が花開き、梅の香しい匂いが境内に広がっていることでしょう。

今回は、ひと足早く、春を感じるお菓子をご紹介させていただきます。
新年を迎えてから2月下旬頃まで、多くの和菓子屋では梅にちなんだお菓子が店頭に並びます。
梅を模った、外郎製のお菓子です。
『梅の香』という菓銘から、梅の甘い香りを思い浮かべながら春を感じていただくことができるお菓子です。
菓銘梅の香
店名亀屋重久
住所京都市右京区谷口梅津間町
電話(075)461-7365
2020
129

鬼やらい

真冬の寒さを感じることなく終わりそうな京都の1月。
如月となれば、節分そして立春。
春の訪れです。
今回は、節分にちなんだ京都のお菓子をご紹介させていただきます。
2月2日、そして節分の3日には、節分行事が各寺社で執り行われます。
節分行事の代表的な神事である『追儺式(鬼やらい)』。
平安時代から行われている宮中の年中行事です。
鬼が出入りする方位が『鬼門』。
北東の方角です。
十二支では丑と寅となり、鬼には角があり、虎柄のパンツをはいた姿となっています。
豆まきで鬼が逃げている様子をイメージして作られたこなし製のお菓子です。
菓銘鬼やらい
店名笹屋守栄
住所京都市北区衣笠天神森町38
電話(075)463-0338
2020
25

椿餅

如月となり、梅と共に椿の花が所々で咲いている様子を見かけるようになってきました。
文字通り古くから『春』を代表する木である椿。
本日は、その椿の葉を使用したお菓子をご紹介させていただきます。
この時期、見かける『椿餅』。
室町時代初期の源氏物語の注釈書である『河海抄』には、椿餅のことをもちの粉にあまづらをかけて椿の葉に包むと書かれています。
現在の道明寺粉に当たるものを戻し餅にして、砂糖の代わりにツタの汁を煮詰めた『あまづら』を含ませた餅菓子であることがわかります。
現在、京都の和菓子屋では、こし餡を道明寺で包んで椿の葉を二枚使用して挟んだ椿餅が一般的に販売されています。
こちらのお店の椿餅は、その意匠とは少し異なります。
道明寺ではなく、羽二重餅でこし餡を包み、寒天でコーテイングしたものを椿の葉で挟んでいます。
非常に口溶けが良いのが特徴のお菓子です。
日頃、食べ慣れている椿餅と違う食感を求められている方はいかがでしょうか。
菓銘椿餅
店名鍵甚良房
住所京都市東山区大和大路通四条下ル小松町140
電話(075)561-4180
2020
212

幸せの時間

2月に入って連日のように報道されている新型コロナウィルス関連のニュース。
京都でも感染された方がいると厚生労働省から発表されましたが、これ以上の感染者が出ないことを願っております。
物や情報が溢れる今の時代において、本来は幸せだと思わなければならないことを当たり前に感じている私たち。
今一度、あらゆるものに感謝をして生きていくことの大切さを痛感しています。
今回は、このような時だからこそというお菓子をご紹介させていただきます。
『幸福』を花言葉にもつクローバーを添えたお菓子です。
みなさんにとっての『幸せの時間』はどのような時でしょうか。
菓銘幸せの時間
店名長久堂
住所京都市北区上賀茂畔勝町97-3
電話(075)712-4405
2020
219

初音

冬の寒さが和らぎ、春を思わせるような暖かい一日になったかと思えば、また冬の寒さ。
寒暖差が激しく、体調管理が大変な日々が続いている京都市内です。
この寒暖差は、私たちだけでなく、動植物たちにとっても大変なのかもしれませんね。
今回は、春を告げる鳥にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
これからの時季、音程を外した愛嬌のある鳴き声でウグイスが私たちを癒してくれます。
ウグイスは、春告鳥(はるつげどり)と呼ばれ、その年の最初に聞く鳴き声を『初音』といい春の訪れを知らせてくれます。
これから少しず上達して、春本番には美しい鳴き声で私たちを魅了してくれます。
春を思わせるピンクのこし餡を包んだ、ふ焼き製のお菓子です。
こちらのお菓子から春を感じてみてはいかがでしょうか。
菓銘初音
店名京都鶴屋 鶴壽庵
住所京都市中京区壬生梛ノ宮町24
電話(075)841-0751
2020
226

貝合わせ

2月も残すところわずかとなりました。
来週は、五節句のひとつ『上巳の節句』を迎えます。
昔は、春の訪れを祝い、無病息災を願う厄払いの行事でした。
現在では、桃の節句として親しまれ、ひな祭りとして女の子の成長を祝う行事となっています。
今回は、節句にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
ひな祭りの代表的な食べ物である蛤(はまぐり)。
蛤の貝殻は、一対になっている貝殻でないとぴったりと合うことがない二枚貝です。
このことからやがて結婚する女性の幸せを願い、ひな祭りでも用いられるようになりました。
蛤を模った薯蕷製のお菓子です。
菓銘貝合わせ
店名伏見駿河屋
住所京都市伏見区下油掛街174番地
電話(075)611-0020
2020
34

野遊び

弥生となり、数多くのイベントが開催される頃ですが、世間を賑わせているCOVID-19(新型コロナウィルス)の影響により中止に追い込まれています。
3月6から3月15日まで開催予定だった京都・花灯路も中止が発表されました。
毎年、桜シーズン前に行われ、多くの観光客が訪れる人気のイベントです。
楽しみにされていた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
来年、再び無事に開催されることを願うばかりです。。
色々と暗い話題ばかりが耳に入ってきて、つい気持ちが滅入ってしまいがちになるこの頃。
滅入っていても、何一ついいことなんて起きないので前向きに色々と捉えて日々を過ごしてみませんか。
今回は、春の様子を表現したお菓子をご紹介させていただきます。
『夢見鳥』や『夢虫』といった異名をもつ蝶。
荘子の『胡蝶の夢』という故事からそのように呼ばれています。
これからは、蝶が菜の花畑を気持ちよさそうにひらひらと可憐に舞う姿を多く見かけることでしょう。
そのような情景を表現した上用饅頭です。
菓銘野遊び
店名茶寮 宝泉
住所京都市左京区下鴨西高木町25
電話(075)712-1270
2020
311

よもぎ餅

早咲きの桜が見頃を迎えて、本格的な桜シーズンが目前にまで迫ってきた京都市内です。
今年は例年とは違う雰囲気の中での桜シーズンとなりそうですが、桜に多くの方々が癒されて、笑顔が満ち溢れるひと時が少しでも迎えることができればと願っています。
今回は、こんな時だからこそ口にしたいお菓子をご紹介させていただきます。
独特の香りをもつ蓬(よもぎ)。
よもぎ餅やよもぎ団子は、春の香りを感じることができるお菓子として多くの人々に親しまれいます。
古来より香り高い草の香りは邪気を払うとされてきました。
昔は母子草(七草の一つであるゴギョウ)を使い草餅を作っていましたが、江戸時代以降になると蓬が使用されるようになり今に至ります。
こちらのよもぎ餅は、店主自らが春先に芽生えた山野の蓬を摘み、その日のうちに一つづつ丁寧に洗い、湯がいたものを使用しています。
栽培された蓬とは明らかに違う、天然の力強い香りが口いっぱいに広がります。
天然の香りで邪気を払って春を過ごしてみてはいかがでしょうか。
菓銘よもぎ餅
店名笹屋春信
住所京都市西京区桂乾町66-1
電話(075)391-4607
2020
318

初桜

いよいよ、桜シーズン到来です。
長徳寺のオカメ桜の見頃を終えて、京都御苑・近衛邸の糸桜が見頃へと向かっています。
そして、ソメイヨシノの蕾が少しずつほころび、ちらほらと咲き始めています。
今年はライトアップや桜まつりの中止が相次いでいますので、例年とは違う風景となりそうです。
(お花見には、予め確認をしてからお出かけください。)
今回は、この時季にピッタリなお菓子をご紹介させていただきます。
桜の花を抽象的にこなしの茶巾しぼりと玉あられで表現したお菓子です。
みなさんは、どのような桜の姿を思い浮かべられることでしょうか。
菓銘初桜
店名京都鶴屋 鶴壽庵
住所京都市中京区壬生梛ノ宮町24
電話(075)841-0751
2020
325

桜餅

本格的な京都の桜シーズン到来を告げる平野神社の魁桜が見頃を迎えています。
そして、桜の開花宣言が発表された京都市内。
いよいよ、春本番です。
これから様々なところで見頃となり、桜たちの下で多くの笑顔が溢れることを願っています。
今回は世代を超えて召し上がっていただきたいお菓子をご紹介させていただきます。
関西風、関東風の違いはありますが、誰もが知っている『桜餅』。
京都では、道明寺製の桜餅が一般的です。
口の中で広がる桜の香り。
風味から春を感じることができる素敵なお菓子です。
桜餅から春を感じてみませんか。
菓銘桜餅
店名笹屋守栄
住所京都市北区衣笠天神森町38
電話(075)463-0338
2020
41

佐保

卯月となりましたが、京都市内の桜の見頃は早咲きの枝垂れ桜からソメイヨシノへと移ろうとしています。
今年のお花見は、浮かれ気分になることなく、人混みを避けて早朝に心静かに花を愛でています。
みなさんも健康管理に努めながら、桜を楽しんでください。
今回は、春をつかさどる神『佐保姫』にちなんだお菓子をご紹介させていただきます。
奈良時代に五行説では、春は東の方角にあたるとされ平城京の東に位置する佐保山を春の象徴としたそうです。
春の野山にかかる霞を古来の人々は佐保姫の織りなす薄い布だと考えていました。
なんともロマンチックな古来の人々ですね。
春の象徴である桜。
塩漬けした桜があしらわれたお菓子です。
見えぬ佐保姫の姿に想いを巡らしながらいただいてみてはいかがでしょうか。
菓銘佐保
店名長久堂
住所京都市北区上賀茂畔勝町97-3
電話(075)712-4405
2020
48

春の小径

見頃となっていたソメイヨシノから花びらがひらひらと舞うようになり、木立となっていた木々は芽吹き、鮮やかな若葉色が目に飛び込むようになってきました。
世間では暗いニュースが続いていますが、植物たちはいつものように私たちに季節の移ろいを知らせてくれます。
植物たちが見せてくれる優しい表情はまるでそっと私たちに寄り添ってくれているかのよう。
身近な植物たちに癒される日々です。
今回は、身近な植物を題材にしたお菓子をご紹介させていただきます。
頭上の桜にばかりついつい気を取られてしまう時期ですが、足下にはタンポポをはじめとする可愛らしいお花たちが控えめに咲いています。
その情景を表現した、こなし製のお菓子です。
菓銘春の小径
店名千本玉壽軒
住所京都市上京区千本通今出川上ル
電話(075)461-0796
2020
415

桜餅

桜との別れが近づいてきました。
「今年は、寂しい思いをさせてごめんね。」
そんな想いが募ります。
桜の下で繰り広げられる人間模様。
それが平和を意味することだと改めて感じました。
来年の春は、桜の下に多くの人々が集っている光景を目にできることを祈っています。

この時代を生きるために京都の和菓子屋さんも今できることに挑戦しています。
常連さんがリスクを伴いながらバスや電車に乗ってお店にお越しになられることを懸念して、こちらのお店では4代目自らがバイクでの宅配をはじめました。
お届の条件は以下の通りです。

●お届けできる生菓子、お干菓子はその日によって異なる為、お電話でご説明

●東山区、中京区、下京区は生菓子3個以上でお届け無料

●山科区、上京区、左京区、右京区、伏見区、南区は7個以上でお届け無料
 (走行距離によってご相談させていただきます。)

●再配達は不可。当日キャンセルはキャンセル料100%となります。

その他につきましては、お電話でご相談ください。
(注:政府からの緊急事態宣言が京都府に発令された場合には、店舗を閉店する可能性があります。)

こういう時だからこそ、和菓子でほっこりとしたひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。


菓銘『桜餅』
鍵甚良房
京都市東山区大和大路通四条下ル小松町140
(075)561-4180
菓銘桜餅
店名鍵甚良房
住所京都市東山区大和大路通四条下ル小松町140
電話(075)561-4180

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